松竹、BS放送事業から撤退へ 昨年には「特別損失38億円」CM収入の計画未達大きく


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松竹株式会社は27日、BS放送事業からの撤退を決議したことを発表した。同社は持分法適用関連会社であるBS松竹東急株式会社の撤退に伴う費用を「適切な範囲で負担する」ことを取締役会で決議している。

BS松竹東急とは松竹と東急が提携して2022年3月に開局した比較的新しいBS放送局として、BS260chで全国無料放送を展開。プロ野球をはじめサッカーやフットボール、ゴルフなどのスポーツ中継を主力コンテンツとしていた。なおチャンネルの終了などは発表されていない。

今回の撤退決定に先立ち、松竹は昨年10月中頃に2025年2月期の連結業績予想を大幅に下方修正していた。当初予想では35億円の黒字を見込んでいた当期純利益を5億8000万円の赤字に修正し、その主な要因としてBS松竹東急の業績不振を挙げていた。

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松竹の説明によれば、BS松竹東急におけるスポーツ中継の視聴率や認知率は「順調に推移している」としているものの、放送コマーシャルなどの広告売上高の伸びが当初計画を下回っていたと説明。これにより松竹は個別決算において38億円の関係会社株式評価損を特別損失として計上する見込みとなっていた。

なお、松竹全体の決算においても本件を含めた複数の要因が影響してことで、厳しい状況となっている。先日には通期業績予想の下方修正も発表し、通期経常損失は49億4000万円、純損失は18億7000万円を見込んだ。

同社の予想下方修正は昨年4月以来、すでに3度目となり、今回の発表理由について、演劇事業で団体顧客の回復が遅れていること、年末年始にかけての興行が低調だったこと、運営する映画館の興行収入見直しや配給作品で「配給収入の見込みに届かない作品がある」ことなどを挙げていた。

著者 編集部 経済・社会担当
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