最高裁、FC2による「ニコ動」特許侵害を認める 海外でも特許権の効力は波及…ドワンゴ「喜ばしい」

株式会社ドワンゴは今月、同社の「ニコニコ動画」などで活用されているコメント配信システムに関する特許権を巡り、海外の動画配信サイト「FC2」の運営元などを共同被告として提起した特許権侵害訴訟の上告審判決が、最高裁判所で下されたことを発表した。
国外からの構築であっても特許権は波及と判断
本件では、国外に設置されたサーバを経由して日本国内で提供される海外サービスに対し、日本の特許権が及ぶかが争点となった。今回の最高裁は属地主義の原則を前提としつつ、国境を越えた情報流通が容易になった現代において、国外からの送信であることのみを理由に特許権の効力が及ばないとする解釈は、特許法の目的に沿わないと指摘した。
その上で、問題となる行為を総合的に判断し、実質的に日本国内で特許発明の実施がなされていると評価できる場合には、特許権の効力が及ぶと結論付けた。
具体的には、FC2側によるプログラム配信は、日本国内の端末で特許発明の効果を発揮するものであり、サーバの所在地が国外であることに特段の意味はないとした。これらが日本国内における「電気通信回線を通じた提供」に該当すると判断し、上告を棄却した。
ドワンゴは本件について2022年より判決を都度公表しており、2023年には知的財産高等裁判所でも同様に特許権侵害を認める判決を下した。この際、一連の本訴訟は「第三者意見募集制度」の創設後初めての案件であった点にも触れ、「第三者の意見が広く集められてこのような判断がなされた点も画期的なもの」と言及していた。
さらに、別の争点となっていたシステムの構築行為についても、国外からの構築であっても日本国内で実質的に「生産」と評価される場合には、特許権の効力が及ぶとの判断を示した。
そして今回の判決にあたって、同社は「今般、特許法の改正に向けた議論がなされておりますが、その議論の中においても本判決の判断は重要な先例として位置付けられることと思われます。 IT企業として、不明確であったネットワーク関連発明の国境を跨いだ実施に対する特許権の適用範囲について法解釈の明確化の一助を担えたことを喜ばしく感じております。」とコメントしている。