ニコニコ動画、数日で動画5万本が削除される 国外情勢を鑑みた“規制見直し”背景か
ドワンゴが運営する動画共有サービス「ニコニコ」において、直近数日間でのべ5万本程度の動画コンテンツが非公開や削除対応を受けていることが明らかになった。昨年発表され、10月末より実施が始まった規制範囲の見直しによる影響とされている。
累計9億再生分が減少している
これは直近より、Xなどのソーシャルメディアで「自分の動画が削除された」と主張するニコニコ動画の活動者の投稿から話題になっている。実際、1月19日時点ニコニコ動画の総動画数は22,001,433本であるのに対し、1月17日時点では22,051,233本であったため、のべ5万件が減少した。総再生数においても計9億再生分が減少していることが確認された。
そして、対象となった複数の投稿者が共有したメール本文のスクリーンショットによると、当該動画を非公開対応ではなく「削除」した旨が明記されていたほか、対応を行った理由について、昨年10月30日に改定された利用規約やガイドラインの運用があると説明していた。
昨年10月に決定した新規約・ガイドラインが影響との見方
理由とされているニコニコの新規約は、日本国内の法令のみならず、国際情勢や海外の法令も考慮した内容になっており、規制対象となる具体的な例として「児童を想起させる人物や動物を対象とした、虐待、性的搾取、性交に従事しているように見える、または関与しているように見えるコンテンツ」「過度な暴力表現や、自殺、自傷、テロリズムの助長、違法薬物や武器の製造、販売を目的としている、または関与しているように見えるコンテンツ」を挙げていた。
そして、この新規約は改定日以前に投稿された動画も遡って削除対象になる旨も明記されており、今回の動画数の急減はこの波及的な対応が影響したものとみられる。※旧規約下で投稿された動画については、削除措置は行うものの投稿禁止などの追加的なペナルティは課されないという
ニコニコ側は改定時、新規約について、法令遵守の重要性を説明しつつも「ニコニコの継続的な運営とサービス提供のために必要な取り組みは行いつつも、自主的な規制はできる限り最小限にとどめていきたい方針に変わりはございません」と強調していた。
しかしながら昨年、ニコニコは一部会費の決済において、「JCB」以外のクレジットカードブランドが利用不可能になったり、つい先日にも関連サービス「ニコニコ春画」の展開終了が決定するなど、昨今注目されている表現規制において厳しい状況に立たされている。
今回の対応は動画配信プラットフォームとして継続的な運営するために、やむない判断だと推察される一方、ユーザーからは今後のサービスとしてのあり方を問う声も見られている。