カドカワ、買収して増えたアニメ制作会社で合同採用実施「一番働きやすい」現場目指す
KADOKAWAは31日、同社グループのアニメ制作スタジオ5社による初の合同採用活動を実施することを発表した。アニメ産業の急成長と制作需要の高まりを背景に、業界が抱える人材不足の解消と制作環境の改善を目指す取り組みとなる。
アニメ関連市場は2023年に3兆3,465億円を記録し、過去最高を更新。日本政府もコンテンツ産業を基幹産業と位置づけ、2033年までに海外市場で20兆円規模を目指す目標を掲げている。一方で、増加する制作本数に対して制作現場の就労人口が不足している現状を受け、KADOKAWAは「国内において一番働きやすいアニメ制作スタジオグループ」を目標に掲げており、人材確保と育成に注力する方針だ。
今回の合同採用では、ENGI、キネマシトラス、動画工房、ベルノックスフィルムズ、レイジングブルの5社が参画。2026年4月入社で10~20名程度の採用を予定しており、制作進行やアニメーター、3DCGアニメーターなどの職種で募集を行う。
そのうち動画工房は『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』『【推しの子】』など歴任しており、昨年夏にKADOKAWAグループ入りしたことが話題になった。
採用後の取り組みとしては、5社のノウハウを共有した「合同研修体制」の整備を挙げており、入社後は各社の技術やノウハウを生かした研修プログラムを実施し、様々な制作現場での経験を通じて技術力の向上を図る。制作環境や労働環境の改善にも全面的な支援を行い、スタッフ一人一人が充実した仕事ができる職場づくりを推進するとしている。
採用を実施するスタジオ詳細
■株式会社ENGI
出版・映像を中心に豊富なIPコンテンツを持つ株式会社KADOKAWA、サミー株式会社、株式会社ウルトラスーパーピクチャーズの3社によって生み出されたハイブリッドデジタルアニメーション制作スタジオ。3社の連携による強力なバックアップのもと、最新の技術を駆使した新しい映像表現によるコンテンツづくりに挑戦していきます。
主な作品:『Unnamed Memory』『メダリスト』
■株式会社キネマシトラス
キネマシトラスは「100年残る、時代が変わっても変わらない価値観が入っているフィルムを産み出す」を理念に、数々のハイクオリティなアニメーション作品を世に送り出している優れたアニメーション制作スタジオです。時流に適応する柔軟さと、変わらぬ志を持って作品制作に取り組んでいます。
主な作品:『わたしの幸せな結婚』『盾の勇者の成り上がり』『メイドインアビス』
■株式会社動画工房
動画工房は、豊富なアニメ制作の実績を持ち、多くのヒット作を手掛けてきたアニメーション制作スタジオです。特に、魅力的なキャラクター描写や作品の世界観を表現する丁寧な作画が評価され、世界中のアニメファンから高い支持を得ています。今後は、これまで以上に意欲的に作品作りを続けられる環境を整え、さらなる挑戦とクオリティ向上を目指していきます。
主な作品:『【推しの子】』『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』
■株式会社ベルノックスフィルムズ
TVアニメ『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズなど、数々の作品をヒットに導いた梶田浩司氏が代表を務めるアニメーション制作スタジオです。ハイクオリティな作品づくりに取り組むとともに、それを安定的・持続的に行えるよう、システマティックな制作手法の開発、実践にも挑戦しています。
■株式会社レイジングブル
『交響詩篇エウレカセブン』シリーズを手掛けた京田知己監督をはじめ、経験豊富なスタッフが集結したアニメーション制作スタジオです。KADOKAWAグループ原作のアニメ化に加え、新規IPの開発にも取り組みます。その中で、プリプロダクションに力を入れた、グローバルに通用する先進的な制作手法の開発にも挑戦していきます。
■株式会社Studio KADAN
Studio KADANは、Netflixアニメ『GAMERA ‐Rebirth‐』やアニメ映画『すずめの戸締まり』CGキャラクター演出などを手掛けた日本有数の3DCGアニメーション監督・瀬下寛之氏を中心とした制作スタジオ。フル3DCGセルルックCGアニメーション制作をはじめ、3Dモデリングを使用したXR、プロジェクションマッピング、ゲーム対応の映像など各種デジタルエンターテインメントの制作に加え、世界市場に向けた大型IP作品の制作に取り組みます。
主な作品:『GAMERA ‐Rebirth‐』
※アニメ制作スタジオ一覧のうち、株式会社Studio KADANにつきましては2026年度新卒採用予定はございません。