メルカリ、返品詐欺の問題受け「商品回収センター」運用開始…急成長する「推し活取引」不安の払拭なるか
フリマアプリ大手のメルカリは25日、サービスの安全性と信頼性向上に向けて本格的な体制強化を行うと発表。ユーザーサポートの抜本的な見直しと補償制度の拡充を行う方針を明らかにした。
メルカリをめぐっては、近日よりソーシャルメディア上でトラブルに遭った出品者の告発が大きな話題に。悪意ある購入者が出品者に対し返品を申し入れ、全く異なる商品を一方的に送る「返品詐欺」などがあったといい、そうした問題にメルカリ側が「対処出来ていない」ことが多くのユーザーから指摘されている。
メルカリでは、プラットフォームの提供者の立場からトラブル対応は取引当事者間での解決が求められる事が多かったものの、一連の件がテレビにも多数取り上げられるまでに問題が露見した今、プラットフォームの責任としてがより能動的に関与する方針を示すこととなった。
「商品回収センター」は既に稼働開始
方針の内容について、同社は「サポートの体制の強化」「補償の拡大」不正利用者の排除」の3点を挙げたうえで、具体的なアクションとして「商品回収センター」の新規設立を発表した。
こちらでは「すり替え・模倣品などの商品回収」を行うとしており、弊誌聞き取りによるによると、すでに25日より運用を開始したという。運営形態については、新たに窓口を設けるのではなく、既存のカスタマーセンターを通じてやりとりを行われるもので、すでにサービスヘルプページ「商品の返品手順」にもその旨が記載されている。
サポート体制強化ではこのほか「取引の経緯や過去の利用状況の確認の徹底」を挙げたほか、不正利用者の排除については本人確認の対象拡大、警察などとの連携強化、取引監視の徹底に加え、今後の予定として「不正行為を検知するためのAIシステムなどの構築」「アカウント通報機能の強化」を挙げた。
フリマアプリのようなCtoCプラットフォーム各社は近年、アニメやホビー、アイドルなどの「推し活」消費との相性の良さを押し出すような機能強化やマーケティングを行っており、メルカリは今年9月にも「推し活の歴史」をテーマにした特別展示を渋谷駅すぐにあるSHIBUYA TSUTAYAにて展開していた。
イベントでは、担当者がアプリ内での「推し活」関連アイテムの取引数が2022年の約1万件から2023年8月までに約7倍に急増したと紹介しており、エンタメ・ホビージャンルは累計取引数の約4割を占め、今後も数を伸ばすと期待していた。
一方、今回の一連の件のように、安心して取引を行えない環境であるとの指摘が増えると、将来的な成長にも影響を与えかねない。特に正規ユーザーへの補償拡大については具体性は持たせてないものの「大幅に見直す」とコメントしており、信頼回復に努めるとしている。