ファーウェイ、脱・Androidの動き加速 独自開発OSを試験リリース、ソフトフェアの国産化進む
中国の通信機器大手ファーウェイは22日、同社独自開発の新オペレーティングシステム「HarmonyOS Next」のパブリックベータ版を、同社のスマートフォンシリーズ8機種を対象に提供を開始。新OSは「Android」との互換性を排除したことが特徴として挙げられる。
HarmonyOS Nextは中国国内の一部のスマートフォン、タブレットユーザーを対象に配信される。ファーウェイはこれまで自社OSとして「HarmonyOS」をスマートフォン、タブレット、家電、ウェアラブルデバイスなどに搭載してきたが、モバイルデバイスのHarmonyOSは「AOSP(Android Open-Source Project)」をベースに開発されており、「中身はAndroid」状態だった。
しかし、今回のHarmonyOS Nextからはシングルフレームワークアーキテクチャを採用、完全にAndroidから独立したカーネルに。これにより、Androidとの互換性は保たれなくなり、iOS、Androidなどに次ぐ“別系統のOS”となる。
iOS、Androidに次ぐ「第3のOS」になる可能性
独自カーネルに移行することにより、システムの最適化が行われ「パフォーマンス効率を30%向上」「消費電力を20%削減」を実現(ベータ版時点)。ゲーム性能面では「没入感のあるPCレベルのレイトレーシング品質を実現」するほか、AI活用にも適するとアピールしていた。
一方で、従来のAndroidベースではなくなる=Android用アプリは使えなくなるというデメリットも大きい。HarmonyOS Next用のアプリにBilibili(動画アプリ)などが用意されているものの、「微博」は未だ配信されていないなど、正式リリースまでの充実が求められる。
市場調査会社CouterPointの報告によると、中国市場におけるHarmonyOSのシェアは、2023年第1四半期の8%から2024年第1四半期には17%まで拡大。iOSのシェアが20%から16%に低下したことで、HarmonyOSは中国第2位のOSに躍進した。
ファーウェイによると、すでに1万5,000程度のネイティブアプリが配信可能になっているといい、コンシューマ部門の責任者は「過去4年間、開発者と協力してきましたが、ついにAndroidに対抗する偉業を成し遂げました。」とコメントしていた。