ファーウェイ、中国のスマホ出荷額でアップルを4年ぶりに上回る チップの国内開発、三つ折り発売など急展開


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中国の調査会社CINNOが公表し、国内や香港媒体が報じたスマートフォン市場の動向によると、2024年8月の中国国内のスマートフォン市場において、ファーウェイの出荷販売額がアップルを上回ったことがわかった。アップルを上回るのは実に46ヶ月ぶりになるといい、ファーウェイの急回復が顕著に見受けられる。

ファーウェイが国内シェアで急伸、アップルは新製品を前に需要減か

ファーウェイは昨年秋季、フラグシップ帯の新型スマートフォン「Mate 60 5G」シリーズを発表。中国国内の半導体企業SMIC(中芯国際集成電路製造)により製造・設計された独自チップ「麒麟(Kirin) 9000s」をプロセッサに搭載したことが国内外で話題になった。

同社スマートフォンは実に数年もの間、米国の輸出規制により「5G」に非対応だったものの、同機種からは衛星通信サービスとともに対応。チップセットの製造プロセスは競合・TSMCに大きく引けを取っていたが、完全国内生産というインパクトに注目が集まり、中国国内では一時供給不足に見舞われるほど需要が見られた。

Mate 60
Mate 60

その後も今年中には、カメラに注力したスマホ「Pura 70」シリーズに加えて、折りたたみスマホ「Mate X」シリーズの最新版を投入するなど、フラグシップ帯での積極的な展開がなされ、今回報じられている販売額ベースでのアップル超えはそうした影響がありそうだ。

本件とは別の調査機関・IDCのレポートによれば、出荷台数ベースのシェアでは2024年第1四半期に(中国市場で)首位を獲得、翌第2四半期には前年期比50%以上の成長を記録していた。

一方のアップルはファーウェイの成長や中国国内ベンターの勢いに押される形となっているという。なお、アップルは毎年9月に新製品を投入するリリーススパンを採っており、例年8月は「買い控え」が起こり需要がもっとも低迷する時期だとされている点には注意したい。ただ、46カ月ぶり転換とのことなので、昨年とは状況の変化が見られた可能性もある。

10.2インチの大画面仕様で技術力アピールした「Mate XT」
10.2インチの大画面仕様で技術力アピールした「Mate XT」

独自開発OSにも挑戦

ファーウェイといえば、先日中国国内で世界初となる「三つ折りスマホ」の商用化を披露。希望小売価格は40万円と非常に高価ながらも、多くの需要が話題になり、二次販売では一時100万円を超えるほどの盛り上がりを見せている。

このほか、同社の注目ポイントとして完全独自OSの開発が挙げられ、現在正式リリースに向けて準備を進めている。開発者会議にて発表された新OS「HarmonyOS NEXT」では、これまでAndroidベース(AOSP)で開発を行っている現行ソフトウェアを一新、アプリ動作の互換性のない独自プログラムになるといい、iOS,Androidに次ぐ新たなエコシステムの構築にも取り組んでいるという。

一方で、中国国外のスマホ展開は「Google系アプリが使えない」といった制裁の影響で依然として厳しい状況にある。日本でも半期に一度、新製品のラインナップを発表しているが、ここ数年はイヤホン、スマートウォッチといったウェアラブル製品が主となっている。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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