正直「縦折り」する意味はあるのか?折りたたみスマホ常用者が最新機種を使って感じた真価
近年、スマートフォン市場で存在感を増す折りたたみ機種は、そのユニークな特徴によりこれまでにはない新しい使い方を提案しています。今回は、折りたたみスマートフォンを日常的に使用している筆者が、モトローラの最新機種「razr 50」を実際に試用。見えてきた特徴と魅力を紹介します。
縦折りと横折り…似て非なる折りたたみスマホ
折りたたみスマートフォンの現在の市場には、大きく分けて2つの方向性が存在しますが、世間で最も想像されやすいのは、サムスンのGalaxy Z Foldシリーズに代表される「横折り」タイプです。このタイプは、開いた際に7〜8インチの大画面となるもので、小型タブレット(8.3インチ程度)に迫る表示領域を実現します。
筆者はこの横折りを普段使用しており、コンパクトさと大画面を兼ね備える点に魅力を感じています。活用する用途は多岐にわたり、文書作業や動画視聴、マルチタスクなど開けばタブレットに近い使用感が得られます。
一方、横折りに対する「縦折り」では、従来の携帯電話(ガラケー)を想起させる折りたたみ方式を採用しています。こちらは10万円以下での製品も展開されており、20万円を超える横折りに比べ手軽ですが、大画面ではないため、特段その折り曲げることへの魅力を感じられませんでした。
モトローラが新型発売「全面大画面」で魅力度アップ
そんな縦折りスマホの最新機種として、レノボ傘下のモトローラ・モビリティ・ジャパンは今年9月に「razr 50/50s」を発表しました。高級感のあるヴィーガンレザー仕上げを採用し、美麗な筐体を持つ本機は、外側に3.6インチの大型ディスプレイ、内側に6.9インチの有機ELディスプレイを搭載しています。価格は13万円ほど。
モデル名の通り、razr 50は昨年発売の「razr 40」の後継機で、前モデルからの最大の進化点は、外側のディスプレイサイズが挙げられます。3.6インチという大型化により、折りたたんだ状態でもほぼ全てのアプリが快適に使用可能になり、魅力度が格段に増しました。
画面構成はメインディスプレイと独立しており、アプリは原則何でも開くことができます。主な用途としてはレコーダー、電卓等の簡易的な操作や電話の受信、メッセージの確認などの日常的な操作を想定していますが、PayPayや楽天Pay等のQR決済も、本体を開くことなく完結できます。
ディスプレイのサイズは胸ポケットに入るクレジットカード大であり、片手にもすっぽり覆うことができるため操作性は案外悪くありません。とはいえ、テキスト入力やそれ以上の操作を行うのは「できなくはない」ものの、かなり使いづらい印象です。
縦折りはカメラ撮影で真価発揮
また、折りたたみのポテンシャルが最大限発揮できると思う特徴の一つが、中間の折りたたみ角度で固定できる「半折れ」機能です。例えば、YouTube視聴時には画面が上半分に表示され、スタンドなしで快適な視聴が可能となります。デスクワークやハンズフリーでの動画視聴など、様々なシーンで活用できます。
そしてこの「半折れ」機能は、写真撮影においても独自の価値を発揮しています。特に自撮りや集合写真の撮影時に、スタンドなしでカメラを固定できる点は、他のスマートフォンにない大きな特徴です。
カメラは5,000万画素の広角と1,300万画素の超広角の2眼構成で、手ブレ補正機能やポートレートも搭載されているため、セルフィー撮影や高所からの撮影など、様々なシーンで高いパフォーマンスを見出してくれます。
本稿は折りたたみ機構に着目しているためここで詳細は触れませんが、実用面ではGoogleの「Gemini」を活用したAI機能群、FeliCa対応によるモバイルSuica等の利用や、ハンドジェスチャーによる直感操作など、実用的な機能も充実しています。特に防水性能の搭載は、雨天時の使用や水回りでの利用も安心できる要素となっています。
個人的には魅力を見いだせない
では、razr 50のような縦折りスマホを筆者個人として欲しいかと言われると、めっちゃ欲しい!とはならないのが正直なところです。ただし、これは先に説明した「便利な撮影体験」「コンパクトさ」を重視していないことによるものであり、その逆、これらのポイントを重視する方は非常に有力な一台になることは間違いありません。
そして常用者視点で思う折りたたみスマホの最も重要な魅力は、独特なギミックに対して感じる「ワクワク」と思っています。従来のスマートフォンとは一線を画す新しい使用体験を求めるユーザーにとって、横折り含め折りたたみ機種は非常に新鮮に思えるのではないでしょうか。