吉野家大炎上事件から学ぶ「PDF所有者」「チェックサム」の重要性(小話64)


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1ヶ月半前に話題になった「吉野家3連続大炎上事件」。この炎上を更に加速させたITに関するトピックを1点ご紹介する。

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吉野家大炎上事件を更に燃やした「謝罪PDF」

吉野家の炎上をおさらい

企業側はなかなか”おさらい”などと称し、思い出させることは甚だ迷惑だろうが本稿の補足として軽く説明する。

4月16日、早稲田大学の社会人講座で吉野家の常務取締役が登壇したときのこと。
常務取締役が、若い女性に牛丼好きになってもらうマーケティングを「生娘をシャブ漬け戦略」と呼んでいた事を受講生がFacebookに投稿。その後、Twitterを中心とした匿名SNSに投下され超大炎上という騒ぎだ。

謝罪文書を公開するも…

今年3月にも軽くポイントカードの件で炎上していたので、なれているのか会社側は謝罪文を公表。しかし、以下のツイートが発端で、そのお詫び文が更に炎上に火を注ぐこととなる。

吉野家常務取締役の「生娘をシャブ漬け戦略」発言について、会社側が『当社役員の不適切発言についてのお詫び』を出したが、ファイルのプロパティを見ると作成者が”Ito Masaaki” だったことが判明。

つまり「本人がお詫びを書いていることになるのか」との考察や「直属の部下が書いてそれを炎上当事者が再度訂正した?」といったさらなる憶測が飛び交い、結果として議論が再加速。炎上が続く騒ぎとなった。

ツイートが真実かどうか著者が検証→真実だった

このようなインターネット上での書き込みは炎上させたい人間によるデマであることも少なくない。そこで、本ツイートに返信する形で本記事の著者が魚拓データと吉野家公式データのファイル同一性チェックを敢行した。
結果は以下の通り。

※魚拓データの証明はありますかと別の方よりご意見を頂いた返信としてチェック結果をツイートしています

パソコンやスマホで作成された電子ファイルはすべてファイルチェックサムと呼ばれる「ファイルの同一性」を検証する仕組みが存在し、インターネットに魚拓として転がっているデータが本物のデータであることの証明にも活用できる。

ファイルチェックサム

このことから公式PDFと魚拓PDFの整合性が取れ、ツイートが真であることがわかった。

あまり知られてないPDFの”所有者”情報

そして本記事のもう一つテーマである「PDFの所有者」について。これはPDFファイルに情報を埋め込む事ができるプロパティという仕組みの要素の一つ。いわゆるPDF版Exif情報のようなもの。

Acrobat ReaderやブラウザのPDFリーダー・エクスプローラから簡単にチェックする事ができ、以下のような情報が埋め込まれている。

  • 作成者(今回の炎上)
  • ファイルを作成したソフト名(Photoshop CC等…)
  • 保護制限の情報

Windowsの場合、デフォルトでは作成者はWindowsユーザー名である作成ソフトが多く、OfficeのWordなどが挙げられる。

「謝罪文を書く時は部下のPCで!」の様な意味不明な助言をサポートするための知識ではないが、個人情報が外部に漏れてしまうおそれがあるので十分気をつける必要があることが理解いただけたら幸いだ。

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