iPhoneやiPadで“Windowsを動かす”挑戦的なアプリ、Appleが掲載却下「エミュレーターでない」との判断


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iPhoneやiPadなどでWindows等をバーチャル環境で動作させるプロジェクト「UTM」について、本年にApple社が実施したエミュレーター容認の方針変更を受けて、App Storeへの掲載申請を行ったものの、却下されたことが分かった。

UTMとは、バーチャルマシンをiOS上で動作させるオープンソースプロジェクトで、これを用いることでiPhoneやiPad単体でWindowsが起動するというもの。現在、公式アプリとしての提供は行われておらず、利用する場合にはジェイルブレイク(脱獄)やそれに準ずる行為が必要となり、気軽に試すことはできない。

しかしAppleは本年4月、自社アプリストアであるApp Storeにおいて、アプリ公開の審査に関する規約「App Reviewガイドライン」を更新。これまで提供が認められていなかったコンソールゲーム機のエミュレータアプリの公開が可能になった。現在任天堂のゲームボーイアドバンスをはじめ、ソニーのPSP、PlayStationといったコンソール機の著名エミュレータが多数登場しており、そのうち一部のアプリは米国ランキングで上位に並ぶほどの動きを見せている。

この更新受けて、UTMもApp Storeへのアプリ公開申請を行ったというが、Appleは2ヶ月間の審査をへてこれを拒否。理由としては、更新を行ったApp Reviewガイドラインの条項に適合しないというもので、不適合な背景に「パソコンはコンソール機でない」ことがあるという。さらに、AppleがEU関連法規により新設した第三者アプリストアにおいても、同様に掲載を許可しないと伝えられたとした。

また、拒否通達への対応について、UTM側は「争う価値がない」とコメント。そもそもアプリストア経由で配布する場合では、動作処理の低下が起こる予定だったといい、これを加味した判断だとしているが、プロジェクトを知るユーザーからは「このアプリがあればiPad Proは最強のモバイルラップトップになるかもしれなかった」などと悔やむ声も見受けられた。

オタク総研編集部

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