アニメ制作の“総作監”ってどんな仕事?『進撃の巨人』歴任のWIT STUDIO・浅野恭司氏がアニメへの向き合い方語る


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ABEMAが今春より展開するアニメに注目したオリジナル番組「SHIBUYA ANIME BASE」では、第5回(5月17日)と第6回(5月24日)の2回にわたり、アニメ『進撃の巨人』にて総作画監督を努めたWIT STUDIO・浅野恭司氏の潜入企画が展開された。

前後編の2部構成となった同企画では、アニメ『進撃の巨人』や『劇場版SPY×FAMILY CODE:White』のキャラクターデザイン総作画監督を務めたアニメーター・浅野恭司さんが登場し、普段の仕事内容や、『劇場版SPY×FAMILY CODE:White』の原画が初公開された。

主にインタビューで企画は進行し、「総作画監督はどういう仕事ですか?」と問われた浅野さんは「アニメーションは1人では作れないので、大所帯で作っているんですけど、絵描きさんの個性はどうしてもでてきてしまう」「そこを一つの絵柄にまとめるのが作画監督です」とわかりやすく回答。

その作画監督も作品には複数いるため、最終的な作画を統一させているのが総作画監督である浅野さんの役割であることが明かされ、「自分は最終的に出力される画の責任を持っているので世の中に出していいものにするためのバランスをとっているのが主な仕事」と補足しつつ紹介した。

前編では、興行収入60億円突破のヒット映画となった『劇場版SPY×FAMILY CODE:White』の素材を本邦初披露する運びに。そして、自身が仕事を進める上で大切にしていることとして、「キャラクターの表情」と、「作品の世界観」があると明かし、「誰かしらが画を見たときに良い画、良くない画を判断すると思うんですけど、最終的にはみんなが良しとしてくれるような画に辿り着くところを探しながら歩いている」「ひたすらもがきながら探りながら描く、それを繰り返すことにめちゃくちゃこだわる」とこだわりを語った。

「日常、生活の一部です」と語るアニメへの思いやプロとしての仕事論を激白

そして、翌週の24日に放送された後編では、浅野さんがアニメーターとして名作請負人になるまでの人生をクローズアップ。アニメ業界歴28年の浅野さんは「画は小さい頃から描くのが好きで『上手だね、上手だね』っておだてられて育ちました」「中学生の時にどっぷりアニメにハマって」と自身の過去について語る。

その後、自身が一番影響を受けた作品だという『機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年公開)』を制作した会社であるProduction I.Gに入社するも、実力主義のアニメーターの世界で自分の作画が認められず、落ち込むこともあったと胸中を吐露。

そんな浅野さんに「アニメーターとは?」という本質を問う質問をぶつけると、「アニメーションはいわゆるエンターテインメント」「エンタメ作品を作っているので視聴者がいることは意識してほしい」と語り、「描いている本人は主観で描いていると思うんですけど、そのまま突っ走ってしまうとお客さんの目で見ることをせずに完成させてしまう」「お客さんが見てくれることを意識して作品を作る、それがプロかなと思います」と自身の意見を伝えた。

また、「今後、思い描く夢は?」と聞かれた浅野さんの口からは、「アニメ『進撃の巨人』や、アニメ『SPY×FAMILY』などを見て、この話を原作者が頭で考えて作り上げたと思うと原作者がすごく羨ましくて、原作をやってみたい」との野望が語られた。

最後に「浅野さんにとってアニメとは?」と問われると、「日常ですね、生活の一部です」「アニメで育ってきたのは間違いなくて小さい頃から見て育っていますし、思春期もアニメで育っていますし、いまだにその流れが続いているので今後も変わらずにやっていくのかなと思っています」「子どもができて子どもと一緒にアニメを観るのも楽しみの一つなので、うちの子が同じアニメーターの道を進むのもありかな」「それも日常の一部になってくれたらいいかな」と、笑顔で応じた。

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次回、第7回は本日5月31日(金)21時より放送開始。本放送では声優事務所「スタイルキューブ」社長・野口隆行さんに密着するという。

著者 編集部アニメ情報班