【解説】DLsiteが“クレカ締め出し”のピンチ…決済事業者による規制の現状は?地銀提携など新たな動きも
同人誌や同人ゲームなどのオンライン販売を行うサービス「DLsite」は3日、サービス内でのVisa、Mastercardブランドのクレジットカードの取り扱いを一時停止すると発表した。
再開のめどは経っていないとのことで、当面の間はJCBやアメリカン・エキスプレスブランドのクレジットカードを利用するか、各種電子マネー決済を利用するよう促している。突然の対応になったことについて、運営会社のエイシスは「何卒、ご理解・ご協力の程、よろしくお願い申し上げます。」とコメントしているものの、理由については公表されていなかった。
DLsiteを巡っては先日、一部のクレジットカードブランドから成人向け作品を中心としたサービスへの要請があったことを明かした上で、一部の卑猥と捉えられる単語を“特定語句”に置き換えるよう促しており、「ひよこ」といった代替案が独特すぎるとして、関連ワードがXでトレンドインするなど話題を集めていた。この発表からわずか1週間足らずで、今回のクレジットカード取り扱い停止が発表されたことから、ユーザーの間では「あの対応はまずかったのでは」と、要請への対応が関連している可能性が高いとの意見が目立っている。
外資系決済事業者を巡っては、UGC(ユーザー生成コンテンツ)や成人向けコンテンツを取り扱うサービスにおいて、今回のような取り扱いの一時停止を強いられる事例が近年増えている。
DLsiteを巡っては、先日、一部のクレジットカードブランドから成人向け作品を中心とするサービスへの要請があったことを明言した上で、一部のわいせつと捉えられる単語を”特定語句”に置き換えるように求めており、「ひよこ」といった代替案が独特すぎるとして、関連ワードがXでトレンドインするなど話題を集めていた。この発表からたった1週間足らずで、今回のクレジットカード取り扱い停止が発表されたことから、ユーザーの間では「あの対応はまずかったのでは」と、要請への対応が関連している可能性が高いとの意見が目立っている。
外資系決済事業者に関しては、UGC(ユーザー生成コンテンツ)や成人向けコンテンツを取り扱うサービスにおいて、今回のような取り扱いの一時停止を強いられる事例が近年増えている。
例えば合同会社DMM.comは2022年7月に自社サービス上でのMasterCardブランドの取り扱いを終了しており、理由については「契約義務の都合上」明らかにしてはいなかったものの、成人向けサービス「FANZA」に関係するとの見方がなされていた。また、動画共有サービスなどを運営するニコニコでも昨年から本年にかけて、MastercardとAmerican Expressの取り扱いを一時停止。いずれも再開のめどはたっていない。
対応はさまさま、新たな取り組みも
また、前記のように「取り扱い停止」といった方針ではなく、サービス内容を変更することで決済手段を確保する方針を取る事業者も見られている。昨年には、ピクシブ株式会社がファン支援サービスのFANBOXにおいて〈コンテンツの審査基準はクレジットカード会社や決済代行事業者の規約変更や要請に合わせ、日々見直しを行っている。〉と明かしたた上で〈ガイドラインに記載している以上の具体的な基準については回答を行っていない〉と説明していた。
こうした、「決済事業者」と「表現規制」を巡る問題は財界でも考慮すべき事項として、立法府でも議論が行われており、〈特定のワードが商品表題に含まれる場合に取り扱いが出来なくなる、という通知が決済事業者から複数の出版社に通知された〉といった業界関係者からの意見が寄せられていた。
そんな中、問題解決の新たなアプローチとして、国内事業者間による決済圏の構築という方向性を模索する動きも見られている。例えば前述のピクシブ株式会社は昨年夏、地方銀行であるふくおかフィナンシャルグループ傘下の金融機関「みんなの銀行」と提携し、サービス内に新たな決済手段「ピクシブかんたん決済」の提供を開始した。
同サービスでは金融機関である「みんなの銀行」の口座とpixivアカウントと連携することで、クレジットカード等を介さないシームレスな直接決済を実現するというもので、今後の展開次第では問題解決の糸口になると期待されていた。
今回のDLsiteのような事例は成人向けコンテンツを取り扱う以上、避けては通れないとの意見や、外資系決済事業者による規制は断固として反対すべきとの意見まで様々。いずれにせよ、コンテンツ産業への影響は避けて通れないだけあり、より議論すべき課題の一つであることには変わらない。