【解説】旅行者注意、台湾の地下鉄は「飲食禁止」啓発が話題 違反は罰金最大3.5万円…過去には「初音ミク」コラボも


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地理的にも友好的にも近しく、暖かい気候で魅力的な観光地も多数あることから海外旅行で定番とも言える台湾。しかし、いくら日本から近いとはいえ海外であることには変わらず、日本とは異なる文化やルールは多数存在します。ここではSNS上で話題になっていた、注意しておきたい「地下鉄の飲食ルール」について、現地の写真とともに解説します。

…と言ってもそのルールは非常にシンプルで「飲食禁止」ただそれだけです。日本でも地下鉄内で食べ物を食べるのは好まれない場合もありますが、台湾の場合は「罰則付き」という大きな違いがあります。これは法律で定められているもので、違反が発覚した場合は大眾捷運法に従って「1500NT$以上7500NT$以下(7000円〜3.5万円)の罰金」が課せられる可能性があります。

飲食禁止の対象路線は「MRT全線」で、台北市内の地下鉄はもちろん、桃園国際空港を繋ぐ桃園捷運、高雄市内の地下鉄も含まれます(台鉄や高速鉄道は対象外)。ジュースを飲む、ガムを噛む、檳榔(噛みタバコ)を噛むなどを含む、飲食に類されるすべての行為が対象で、車内だけでなく駅構内やプラットフォームなどでも同様の規定が適用されます。

先日SNS上で話題になっていたのはこのルールを〈違反している日本の若者グループが警備員から注意を受けていたが、注意を受けた者の態度が悪く、一触即発の事態になっていた〉との内容で、投稿者が仲裁に入り罰金を免れたというものでした。実際のところ、筆者も地下鉄を乗っていて注意を受けている現場には目撃したことはありませんが、ルールが存在する以上「郷に入っては郷に従え」は至極当たり前のことで、無闇に反抗したり無視したりするのはもっての外でしょう。

しかしながら、台湾に旅行や留学に来た外国人にとっては、このルールに気づかないまま違反してしまうことも少なくありません。そこで、台湾の鉄道事業者は、さまざまな方法で飲食禁止の啓発を行っています。例えば車内には英中表記+ピクトグラムの啓発ステッカーが至る所に貼ってあります。万一繁体字のみの表記だとしても「禁止飲食」の文字は日本人でもすぐ理解できると思うので、知らなかったでは済まされないかもしれません。

また、駅構内でのルールについても“ここから飲食禁止です”を示す黄色いラインが改札近くに引かれている場合が多く、こちらもわかりやすい仕組みが取り入れられていますので、初めて台湾に来る方は特に注視してみると良いかもしれません。

啓発はこうした一般的な内容にとどまらず、コロナ禍前の2019年には高雄捷運が台湾でも人気のVOCALOIDキャラクターを起用したコラボキャンペーンも実施していました。キャンペーンでは日中2言語で「初音ミク」が飲食禁止のルールを広めるポスターを制作しており、その他のキャラクターとともに駅構内などで掲出されていました。

ちなみに、なぜMRT内で飲食禁止のルールが厳しく啓発、規定されているかについては諸説あるようですが、最も大きい理由として衛生面と安全面があるようです。飲食によるゴミや臭いが他の乗客に迷惑をかけることはもとより、2月でも最高気温は25度にのぼる温暖な気候であるため病原体類の媒介を未然に防ぐなどの狙いがあるとされています。(ただし、授乳は例外です)

今回の台湾の例に限らず、旅行の際は渡航先のルールをチェックするなどを心がけましょう。なお、本稿では飲食についてのルールを紹介しましたが、喫煙も同様に禁止で、こちらは「最大10,000NT$の罰金」と更に厳しい規定が設けられています。

※1ニュー台湾ドル=4.79円換算