セールじゃなくても2万円!脅威のコスパを誇る「インテルN100ミニPC」が想像以上に凄かった。“2023年トレンド機”を実機検証


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ここ半年で最新CPU「インテルN100」を採用した“激安”なミニPCが注目を集めている。YouTubeなどでは絶賛する声を多数見かけるが、果たして本当に優秀なのだろうか。今回実際に購入してみたので、使用感とともに“使えるか”を検証する。

セールじゃなくても「2万円台」

外観や性能以前に、まず目を見張るのはその価格。本製品は「PELADN WI-6 Mini PC」という名称のもと、Amazon.co.jpで24,998円(税込)にて販売されており、常時提供される2,000OFFクーポンを利用することで実質価格は22,998円(税込)。

【注意】16GBモデルは人気があるため「在庫ゼロ」の可能性があります。同様の製品は多数販売されているので、Amazon.co.jpで「N100 16GB」等で検索してチェックしてみて下さい。

N100を搭載した同様のミニPCは2〜4万円の同価格帯に多数存在しているが、本製品は相場より数千円程度安くなっている。なお、「メモリ16GB」モデルと「メモリ8GB」モデルの2種類で展開されているものの、価格差は僅か2,000円であるため上位モデルを強くおすすめする。

過去の低スペックPCと比較しても段違いにコスパが良いため、本当に届くかすら心配だったがプライム配送で即日到着。中華感満載の怪しい梱包かと想定したものの、白基調の化粧箱に丁寧に収納されておりこちらも拍子抜け。

本体のボディは手に収まるほど非常にコンパクトで、ケースはスチール素材…ではなくスチール風のプラスチックだが、側面には排熱用の穴が。カラーは青みがかった銀色といったところで、角張ったデザインも相まって“安っぽさ”を感じさせないデザインに仕上がっている。

Mac Miniと比較してもふた周り小さい

付属品は本体、HDMIケーブル、説明書(中/英)、ACアダプター。ACアダプターについてはUSB充電器レベルの小型でコードも細くて使いやすい。ちなみに本製品はあくまで「ミニPC」であるため、ディスプレイ、キーボード、マウス、スピーカー、等は自前で用意する必要がある点だけは留意していただきたい。

信用ならぬ常套句「文書作成なら十分」真価を試す

エントリーモデルのパソコンを紹介するサイトや家電量販店ではよく「文章作成程度ならサクサク!」「動画視聴にピッタリ」などといった常套句をよく見かける。

しかしながら、従来の低性能CPU「Celeron」「Pentium」シリーズを搭載したパソコンの多くは到底“快適”とは言えない場合も多く、それらを体験している筆者にとっては「N100が凄い」と噂されていてもどうも信用ならなかった。こうした疑心暗鬼を晴らす目的で今回購入したわけだが、実際に使ってみるとこれまでの低スペックとは(いい意味で)レベルが違う、2万円では満足すぎる有用さを発揮してくれた。

一言に本製品の性能を表すならば「Wordを使いながら、YouTubeを同時に2つ再生しても映像やマウスの遅延が発生しない程度のスペック」。ウェブブラウザやOfficeアプリがサクサク動くのはもちろんのこと、ウェブ会議においても「PDFを開きながらGoogle Meetで打ち合わせ」といった用途も問題なかった。

YouTube視聴はもちろん、少し重めの作業も◯

本製品に搭載されているCPU「インテルN100」は2023年4月に発表された、第12世代Alder Lake-Nシリーズの低電力モデル。4コア4スレッドでクロック周波数は3.40GHzと決して高スペックではないものの、従来品と比較すると第11世代のCeleronよりも40%の性能向上(公称値)が行われている。

実際にChromeブラウザでYouTubeを同時に再生してみると、最初は一時的にCPU使用率が100%を超えるものの、すぐに50%に収束していた。一方で「タブを開きまくって動画エンコード」といったマルチタスクを要する用途には非力さは否めない。

CPU以外のポイントとしては先にも述べた通り、メモリにDDR4 16GBを採用していることが“快適さ”に大きく貢献していた。EdgeやChromeなどのウェブブラウザはとにかくメモリの消費が激しいアプリケーションであり、YouTubeを再生しながら別タブで調べ物…を行うだけで数GBは常時専有することとなる。そのため、8GBは必要最低限のラインであり、よっぽどの理由がない限り16GBは必須だろう。

また、本製品は物理ファンを搭載していることもポイント。同価格帯の一部製品にはファンレス(ヒートシンク)を採用するものも存在するが、実際に使ってみた限りではやはり物理ファンは必須なように感じた。静音性については「小型にしては少し大きい」といったところだが、ミドルタワーのデスクトップPCに比較すると非常に小さいため特段気にはならない。

加えてインテルN100は直近のインテル製CPUに共通する特徴「低消費電力」も兼ね備えており、TDPは6Wと一般的なノートパソコンよりも少ない。そのため事務作業程度ならAMD Ryzen等のデスクトップ用CPUと遜色ない快適さを維持しつつ、圧倒的な電力節約が期待される。

補足:OSは最新のWindowsかつ上位グレードの「Windows 11 Pro」を搭載しており、アップデートも直近11月の「23H2」に対応。ライセンスはVLではなかった。

※本稿での「快適」は主観表現であり、個人差があることご了承ください

映像は4K×2画面、まさかのUSB-Cも対応

続いてスペック以外のポイントを紹介する。事務作業やネット閲覧に有用な性能であっても、その他の要素が「安かろう悪かろう」だったら買う価値はない。

本製品の映像出力には4K解像度対応のHDMIが2ポート搭載されており、デュアルディスプレイが可能になっている。加えて、本製品は同様のインテルN100ミニPCとしては珍しくUSB-Cポートが本体前面に搭載されているが、さらに珍しい「HDMI Alt Modeでの映像出力」に対応している。これは製品ページの仕様に記載がなかったため嬉しい誤算だった。

このほか、前面と背面にUSB端子が計4ポート(USB3.0対応×2・USB2.0対応×2)、イーサネットLANが1ポート、3.5mmイヤホンジャックを備える。ワイヤレス規格に関してはWi-Fi 6とBluetooth 5.2をサポートしており、ワイヤレススピーカーの接続にも対応するなど、2万円ながらも抜かり無い。

ストレージは高速だが拡張性はほぼ無い

ストレージについては500GBのM.2接続NVME SSDを採用。沢山動画を保存したりアプリをインストールしたりする場合は500GBだと心もとないかもしれないが、ゲームを遊べるほど高スペックではない上、ストリーミングが主流の現代においてはこれで十分のように感じる。

ストレージ速度に関してはRead 800MB/s・Write 600MB/sとNVME接続タイプとしては一般的。3000MB/s超えのPCIe接続ほど早くはないものの、そもそも処理性能自体が高くはないので必要十分だろう。

CrystalDiskMarkベンチマークスコア

ここで一つ問題が発生。足りないという方のためにも「ストレージは拡張可能です」と製品紹介ページには記載があったものの、自前で拡張できるような機構が見当たらない。

本体底面のネジ4本を開け、基盤にアクセスするとストレージ用のM.2スロットは使用済みの一つしかなく、これ以上増設することはできなかった。なので、先のメーカーの文言は「M.2 SSDをより大容量なものに交換する」ことを拡張と呼んでいることになり、その点は注意すべきと感じた。(もちろんUSBでの拡張は可能)

拡張性に関連して、最後に収納面について触れておく。本製品にはディスプレイ背面に取り付けられるよう金具とネジが付属品として用意されており、卓上にはキーボードとマウスだけ、といった運用も可能になっている。

総評:耐久性は未知だが現時点で「超優秀」

以上、2.2万円で買えるインテルN100ミニPCを紹介した。総評としてはこれまでにも述べた通り「想像以上に優秀な一台」だった。格安ながらも一定の処理性能を発揮しつつ、入出力インターフェースも潤沢、拡張性も少なからず担保されており“怪しさ”は一切見られなかった。

そのため、YouTubeやNetflix等の動画を見つつ、ネット閲覧や事務作業を行いたいといった用途を想定している方は非常におすすめできる製品となっている。また、非常にコンパクトかつ安価なので、動画視聴機と割り切ってサブパソコンとして試しに買ってみるのも良いかもしれない。

懸念点があるとすれば「耐久性」が挙げられるが、購入直後であるため分かりかねるので、その点について心配性でないのであればぜひ購入を検討していただきたい。

【注意】16GBモデルは人気があるため「在庫ゼロ」の可能性があります。同様の製品は多数販売されているので、Amazon.co.jpで「N100 16GB」等で検索してチェックしてみて下さい。

【補足】11月末にはAmazon.co.jpにて大型セール「ブラックフライデー」が控えており、こちらでも値引きが想定されるが、同様の製品は常に数千円以上のクーポンを配布しているため、セールまで待つ必要はあまり無いと思われる。

付録:ベンチマーク測定結果…ゲーム用途はNG

最後に余談だが、いくら魅力的でも所詮は低スペック機であることは変わりないので、ゲーム用途は全く持っておすすめしない。実際に本製品を用いてベンチマークを行ってみたところ、Cinebench R23のシングルコアスコアは「1555」との結果が得られた。

これは2019年発売のノートPC向けCPUであるRyzen 5 3500Uと同等の性能であるが、コア数が少なくグラフィックも貧弱なため、比較的軽量なFF14ベンチマークでも720p標準設定で「設定変更を推奨」判定という結果に。過度な期待は控えよう。