『呪術廻戦』など手掛ける東宝、アニメ事業を”新たな柱”へ 直近売上は50%増と好調【業界観測】

アイキャッチ画像

映画事業や映像事業を手掛ける東宝株式会社は13日、自社の2024年2月期第1四半期における決算を報告した。本記事ではアニメ分野に注目し、現状と今後の動きを紹介する。

アニメ事業50%↑に着地

同日、投資家に向けて公開された決算短信および決算資料によると、営業収入は前年同期比19.9%増の741億5300万円、営業利益は183億2400万円(28.4%増)、経常利益は188億200万円(18.8%増)、当期純利益は122億9100万円(6.7%増)と増収増益を記録したことが明らかに。

各セグメントごとの営業成績も公開されており、映画事業については配給作品のヒットが寄与したことが増収増益に繋がったと説明。特に『名探偵コナン 黒鉄の魚影』はシリーズ作品で初めて興行収入100億円を突破する大ヒットを記録したことは記憶に新しい。

資料内ではほかにも『映画ドラえもん のび太と空の理想郷』や『TOKYO MER~走る緊急救命室~』『わたしの幸せな結婚』そして、東宝東和配給の『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』『ワイルド・スピード/ファイヤーブース』などが”ヒット作”として取り上げられていた。

主要タイトルの興収も言及

そして、本稿のテーマである「アニメ事業」については、映画事業に内包する「映像事業」の一分野として業績が決算資料内にて言及されており、売上高が前年同期比50.1%の91億9100万円と急伸したことがわかった。

※ちなみに、今回の決算資料の表紙は劇場公開中の話題作「君たちはどう生きるか」のビジュアルになっている

王道からニッチ作まで幅広く展開

映像事業について、決算資料では同社が手掛けるアニーメーションレーベル「TOHO animation」作品の商品化権(ライセンス)、動画配信等の各種配分金収入、劇場公開が好調に推移していることが言及されていた。

TOHO animationレーベルが製作・製作出資している代表的な作品として『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』『PSYCHO-PASS サイコパス』『BLUE GIANT』などが挙げられ、いずれも幅広い層に浸透し、人気を獲得している作品となっている。

また、上記のような”王道”に類される作品のみならず、今冬放送された『お兄ちゃんはおしまい!』を始めとしたニッチなジャンルのタイトルの拡充も行っており、幅広い顧客の獲得に邁進している。

決算からも伺える「アニメ推し」

こうした東宝の「アニメ推し」の動きは過去数回の決算資料からも見えてくる。というのも、同社は本年4月に公開した2023年2月期通期の決算資料から「アニメ事業」というページを新たに設けており、当期の詳しい成績や今後の事業展開を3ページに渡り詳細に記載している。

まず最初のページでは「映画事業」「不動産事業」「演劇事業」という現行の”3本柱”体制から、映画事業内の「映像事業」を「アニメ事業」として再編し、”4本柱”体制への移行を長期的に推進することを2度にわたり説明している。

続く2ページ目では「配信」「キャラクターライセンス」「商品物販」「パッケージ」といった分野別でTOHO animationレーベルのタイトルの概況を、上げ要因・下げ要因とともに事細かに紹介している。詳細は以下画像を参照されたい。

そして最後のページには今後TOHO animationレーベルにて展開される予定のアニメ作品をピックアップして紹介している。今回の場合、『呪術廻戦(第2期)』と『葬送のフリーレン』『薬屋のひとりごと』の3作品が並んでいた。『呪術廻戦』は夏クールアニメとして現在放送中で、放送時間前後にはTwitterトレンドを一色に染め上げるなど、前作(第1期)に引き続き非常に高い人気を誇る。

今後放送予定作品としては史上初・日本テレビ系「金曜ロードショー」にて2時間の初回拡大放送が決定した『葬送のフリーレン』と、シリーズ累計発行部数2,100万部を超える後宮謎解きエンタテインメント『薬屋のひとりごと』が挙げられている。このほか、映画事業全体としては劇場版『SPY×FAMILY CODE: White』の公開も本年12月22日に控えている。

これらの積極的な「アニメ推し」は長期的に推進するとしている一方、ライセンスビジネスである以上、対象となる作品のヒットや人気に大きく左右されるのは避けられない。同社は今回の一連の決算公開に際し、2024年2月期の通期業績予想の上方修正も実施しており、今後の動向がアニメ作品とともに注視される。

【PDF】決算説明資料
【PDF】決算短信

©ねことうふ・一迅社/「おにまい」製作委員会©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会