ついに始動した令和版『赤影』ギャグパートは賛否あるが…今後に期待 貴重な特撮時代劇が復刻
10月26日(日)深夜0時10分よりリメイク版『仮面の忍者 赤影』第1話がテレビ朝日系ではじまった。
横山光輝原作の『赤影』は、1967年に実写版ドラマも放送されており、令和版『赤影』は実写ドラマとしては2作目という形になる。
67年版の『赤影』は複数の章で構成され第一部が「金目教編」と称されている。金目教という正体不明の教団、そして霞谷七人衆という忍者集団が目下の敵として登場していたが、今回の令和版は冒頭からこの金目教の暗躍が描かれる。
ただし、詳細なディテールはいくつか変更されており、主役である赤影(演:佐藤大樹)が主君である織田信長(演:TAKAHIRO)にやたら反抗的であるといった描かれ方がされていた。
またコメディパートも割と多いのも特徴だ。信長が武田家を破った直後から物語が始まる、とあるため1575年の長篠の戦いを済ませたばかりのタイミングといったところだろうか。
もっとも、松永久秀が序盤で倒されるといった本来の日本史とは大きな齟齬が生じるシーンもあるが、そうした部分はわざわざ気にしなくても良い作風になっている。(信長の髪に金のメッシュが入っている)
ギャグシーンがちょっと冗長、ただし光る部分も
令和版『赤影』に関して、67年版を知るファンの反応というものが筆者は気になっていた。
そこでXなどで簡単に調査してみたところ、正直な話、手放しでこの第1話を称賛する声というのはあまり見られなかった。逆に多かったのがギャグシーンがやや「寒い」といったような意見。
一応、第1話は赤影が織田信長に仕えるかどうかという大筋の流れがあり、そういった関係からか会話劇が続く。そのなかで様々な登場人物が顔見せがてら出演し、中にはコメディパートを披露することも。
ギャグも使いようで、さも時代劇の会話のテンションで「今様に言えば~」と滝川一益(演:忍成修吾)が現代の視聴者向けに信長の天下統一の悲願を説明するシーンは、テンポを崩さずそのまま放つセリフだったこともあり、悪くないように見える。
それでもまだ全体像がふんわりしているところにギャグが続くので、だれてしまう側面もあるだろう。
演じている忍成氏はこれまでも時代劇。それも大河ドラマへの出演経験もあるため、こういう若くて経験もあるキャストが脇に付いているのは安心できる。
信長役のTAKAHIROが色んな意味で浮いているものの、彼が浮くことで赤影のキャラが割とまともに見えるという効果もあるかもしれず、これで良いのかもしれない…。
霞谷七人衆は旧ドラマ版と比較しても、なかなか濃いのでは?
さて、今回のドラマは金目教を相手取るということもあり、旧作と同じく霞谷七人衆が登場する。この七人衆に金目教の教祖である幻妖斎を加えた面々が本作の宿敵となる。
その幻妖斎は顔を布で覆っており、正体は不明。キャストのクレジットも伏せられているが、どうもTAKAHIROっぽい気が…。
第1話で活躍する七人衆は傀儡陣内と蟇法師。陣内は冒頭で討ち死にした松永久秀の顔を盗むという、山田風太郎の小説『甲賀忍法帖』以来様々な作品でお馴染みの術を用いて信長暗殺に出向く。
蟇法師もお馴染みの千年蟇を使役しており、この千年蟇は着ぐるみで表現されている。赤影との対決では合成を用いて演出。スーツの出来も最近の怪獣着ぐるみっぽく動きやすそうに見える。
また、金目教の本尊とも呼ぶべき巨大な金目像も少しだけ登場していたが、こちらもどうやら着ぐるみの様子。
終盤で動き出すことは間違いない。
旧ドラマでもかなり癖の強い面々が揃っていた霞谷七人衆だが、このアクの強さは令和版でも継承されているのではないだろうか。ちなみに彼らの意匠デザインは若干アレンジされており、全体的に小綺麗になっている。
貴重な特撮時代劇。おおらかな気持ちで寝る前に観るのが正解か?
赤影と千年蟇の特撮パートは、合成を多用して千年蟇とのスケールの違いを色々と苦心した痕跡が窺える。
人によっては巨大感が足りないと感じるかもしれないが、どうも本作の千年蟇は10メートルあるかどうかというサイズ。
終盤ではその千年蟇に赤影が食べられてしまうというシーンで次週への引きも忘れないところだが、そこで流れるエンディングテーマ(WOLF HOWL HARMONYの「Marmalade」)が結構ミスマッチなのが少面白い。
このようなギャップも新鮮だし、利点として受け取って楽しむ方が絶対良い。何よりも、この時代に地上波で時代劇の範疇にあるドラマを放送すること自体が貴重だ。
それを考えたら立ち回りと殺陣がある時点で今となってはかなり希少。そりゃ立ち回りに関しては、目の肥えた方々は比較対象が山ほど頭をよぎることだろう。
筆者もつい先日『魔界転生』なんか観ちゃったものだから、若山富三郎の殺陣とこのドラマの殺陣を比較しそうになったが、そういうことではきっと楽しめない。
「粗探しをするな」とは言わないものの、今はなかなかジャンル的に少なくなったドラマだから、もうちょっと味が出るまで待つような気持ちで、じっくり噛んでみてはどうだろう。個人的には、次週も楽しみだ!
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