AI活用で“ファミコンゲーム→スマホアプリ”に自動変換 ニッチな試み「レガシー資産の有効活用を実現」


AI活用で“ファミコンゲーム→スマホアプリ”に自動変換 ニッチな試み「レガシー資産の有効活用を実現」

名古屋市のソフトウェア開発企業・ABC株式会社が、自社開発のマルチエージェント自動化アプリケーションを活用し、ファミコンなどで使用される6502系アセンブリ言語のゲームデータをiOS・Android向けアプリ言語で書かれたコードへ自動変換することに成功したことを発表した。

同社によるとこのプロジェクトは、ファミコンで販売されていたゲームの版権を保有する企業のゲーム資産をスマートフォンアプリとして復活させることを目的としている。現在、プロセスの完全自動化に向けた取り組みを進めているという。

近年のレトロゲームブーム再燃により、1980年代のファミコン名作に再び注目が集まっている。しかしながら、当時のゲームは6502系のアセンブリ言語で記述され専用ハード上で動作するため、現代のスマートフォン上で再現するには大幅な作り直しが必要となっている。

こうした状況において、版権を保有する企業にとって、これら過去のゲーム資産を現代向けに再活用することは新たな収益化の機会となる一方、手作業による移植開発には多大なコストと時間がかかるという課題があった。

6502系アセンブリを現代高級言語に変換、デバッグ作業も提案

そこで、複数のAIエージェントが連携して動作する独自プラットフォーム「Crucible」を用いることで、人間のエンジニアが行っていた分析・コーディング作業の自動化を図る。AIエージェントがファミコンゲームの6502アセンブリコードを読み取り、ゲームのロジックや構造を解析し、Swift(iOS)とKotlin(Android)に自動変換する。

また、別のエージェントが当時のハード固有の機能を現代のスマートフォン向けフレームワーク上の対応機能へマッピングする。コントローラ操作はタッチスクリーン入力に、ドット絵の描画はスマートフォンのグラフィックスAPIに置き換えるなど、ハードウェア間の差異を吸収する仕組みとなっている。

さらに、コード変換をするだけでなく、オリジナル版との挙動比較テストを行うことで、品質を保証するとともに、人手によるデバッグ作業の削減を実現するという。

本プロジェクトでは、既に2タイトルのファミコンゲームのスマホアプリ化に成功。これらのゲームはいずれも自動変換によって従来の手作業移植と比べて大幅な作業時間削減を実現しており、開発コストと期間の大幅な圧縮に寄与したと報告した。

同社は今後、変換プロセスの完全自動化をさらに推進する計画のほか、将来的には6502系以外の他プラットフォームへの対応も視野に入れており、様々なレガシーシステムのモダナイズを支援していく方針を示した。

著者 テクノロジー/ゲーム担当
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