コナミ、AI音声使った一部動画を公開停止「“無断学習由来”の疑義」理由に クリエイターへの敬意も言及

コナミデジタルエンタテインメントは9日、パリで開催された「Yu-Gi-Oh! World Championship 2025(WCS2025)」マスターデュエル部門で実施したAI実況トライアルに関する一部動画を非公開対応としたことを発表した。
同社は理由について、動画制作に使用したオープンソース音声合成モデル「Anneli」の学習データに“無断学習由来”の疑義が報じられたことを挙げ、調査の結果、アーカイブの公開停止に踏み切った。なお、それ以外のAI実況トライアル動画は Azure OpenAI Servicesを用いていると説明している。
今回、WCS2025ではマスターデュエル対応の全言語でAIのみの実況配信に挑戦する「AI実況トライアル」を特別企画として実施していた。日本語・英語・フランス語・イタリア語・ドイツ語・スペイン語・韓国語・ポルトガル語・中国語(簡体字/繁体字)などの多言語で実況するというもので、試験配信はDAY1で行われ、一部はYouTubeの公式チャンネルでも公開されていた。
今回非公開対応となったのはその中で、日本語TTS(Text to Speech)で使われてきたという音声モデル「Anneli」を活用したものだった。
このモデルをめぐっては、作者が8月末に学習元の音声に関する詳細を公表。成人向け恋愛アドベンチャーゲームのデータを利用しつつも、個別での許諾を取っていないとの旨を自ら説明したことが、SNSを通じて拡散。関連する問題提起や報道が相次いだことで、一気に関心が高まった。(声明の詳細は要Hugging Face確認)
これを受けて、AnneliはHugging Faceから削除されたほか、このモデルを活用したツールの一部も公開停止対応となっている。
この発表に際し、コナミは「当社はすべてのクリエイターに敬意を払っている(文末調整)」と強調。あわせて、現時点でマスターデュエル本体へのAI実況機能の組み込みは行っていない旨も明らかにしている。