新作アニメは「語りたくなる」「調べたくなる」が流行る鉄則…夏アニメで“注目度が上がる”意外な作品も

ブシロードのアニメデータインサイトラボは26日、2025年夏クールアニメ作品の注目度推移を検証した「2025年夏アニメの初速分析」を公開。今期は新作62作品、続編19作品という大規模なラインナップとなり、初週の話題量では『タコピーの原罪』が圧倒的な注目を集めた一方、放送開始から4週間が経過した時点では異なる注目パターンを示す作品も浮上しているという。
分析では、Google検索量を相対値化した「トレンド指数」を一般認知・新規流入の指標とし、X投稿量を相対値化した「ファン指数」を熱量・エンゲージメントの指標として使用。初週を100%とした場合の4週目時点での維持率も算出した。
初週のトレンド指数では『タコピーの原罪』が最大値を記録した。原作漫画のジャンプ+史上初の300万閲覧という話題性が、アニメ化への期待を大幅に押し上げた形となった。一方、X投稿量を示すファン指数では『ダンダダン』が最高を記録し、ファンの期待値の高さを示した。

同ラボは、トレンド指数とファン指数の差分をもとに作品を「トレンド優位型」と「ファン優位型」に分類。トレンド優位型の代表作品として『タコピーの原罪』『ぬきたし THE ANIMATION』『地縛少年花子くん』を挙げ、「話題性やニュース性で注目される」「どんな作品か知りたいという気持ちが強い」「ファン以外の人も巻き込む力がある」などと特徴を分析した。
ファン優位型では『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』『彼女、お借りします』『青春ブタ野郎はサンタクロースの夢を見ない』『地獄先生ぬ~べ~』が代表作品となり、続編や人気IPに多い傾向となっている。「ファン同士の感想交換や議論が活発」「みんなと語り合いたいという気持ちが強い」などが特徴として挙げられた。
そして、4週目時点での維持率分析では、初週ランキングとは大きく異なる結果も挙げられ、そのうちトレンド維持率では『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』が189%という最高の維持率を記録した。
どの作品よりも注目度を増した作品は
この作品は2022年に映像専門学校の卒業制作として亀山陽平さんがYouTube公開した短編3Dアニメ『ミルキー☆ハイウェイ』(累計再生数670万回)の続編。同作品は初週は平均以下だったが、調べる人が増加してトレンド維持率で首位となった。YouTubeでの無料配信・国際展開が注目を集めた可能性があるという。
ファン維持率では『光が死んだ夏』が141%で上位となった。『このマンガがすごい!2023』1位受賞作品で、視聴者の感想投稿が増加した結果となった。
同ラボは継続パターンを「トレンド継続型」と「ファン継続型」に分類した。トレンド継続型は「見るほどにもっと知りたい気持ちが強くなる」「作品の背景や設定に興味を持つ人が多い」「話題性や権威性が後から効いてくる」という特徴があると示唆。ファン継続型は「ファン同士の感想交換や議論が続く」「特定のジャンルファンに愛される」「みんなと話したい気持ちが続く」としている。
今回の分析を通じて、放送開始時の注目度だけでは優れた作品を見落とす可能性があると指摘。人気の伸び方も「検索で伸びるタイプ」「SNSで伸びるタイプ」という違いが明らかになっている。