「多すぎる」とも言われるTVアニメ放映数、実態は過去10年で最少 配信媒体への移行も影響か


「多すぎる」とも言われるTVアニメ放映数、実態は過去10年で最少 配信媒体への移行も影響か
写真:写真AC

帝国データバンク(TDB)は15日にアニメ制作市場の動向調査を発表。2024年のアニメ制作市場は3621億4200万円となり、前年を4.0%上回って過去最高を更新した。一方で、TVアニメの本数は大幅な減少傾向を示しているとも指摘している。

調査の元となった日本動画協会の統計発表によると、2023年のTVアニメタイトルの放映本数は300本となった。これはピーク時の2016年(361本)と比較して61本減となっており、過去10年間で最少の水準に落ち込む数字になっているという。

アニメの“テレビ放映数“は2023年時点で減少傾向

背景には、アニメ放映の媒体がテレビからYショートアニメ、Netflixなど配信プラットフォーム上に移行していることがあるとTDBは分析。相対的にテレビ放映の重要性が低下している状況が浮き彫りになったと推測している。

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TVアニメ本数は過去10年で最少――TDB資料より

配信市場の拡大は顕著で、2023年における動画配信サービス(VOD)など「アニメ配信市場」は前年比51.4%増の2501億円を記録した。単年市場として初めて2000億円を突破し、過去最高を更新している。

一方で、日本国内では「同時視聴で楽しむ」といった点においてテレビ媒体は依然有用だとされている。現行の夏クールでは、配信含むアニメ作品は確認できる限り80作品を超え”過去最多級”とも称されており、上記統計から増加する可能性も想定される。

2024年のテレビアニメでは、ライトノベル原作の『負けヒロインが多すぎる!』がSNSを中心に話題となり、原作の重版や舞台となった都市への観光客増といった動きがみられた。コミック原作では『ダンダダン』や『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん(ロシデレ)』などが人気を集めた。継続作品では『転生したらスライムだった件(転スラ)』『怪獣8号』『響け!ユーフォニアム』などが放映された。

2025年に入ってからは、『【推しの子】』『薬屋のひとりごと』『ウマ娘シンデレラグレイ』『その着せ替え人形は恋をする』『男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)』などがSNSを中心に話題に。TBDは特に、2019年の京都アニメーション放火殺人事件から6年が経過する中、同社初の事件後完全新作テレビアニメとなる『CITY THE ANIMATION』の放映が始まったことで、復興へ前進したと評している。

著者 経済/社会担当
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