ナゼ人気RPG「Fallout」最新作は当初“不評だらけ”だったのか?再評価を受けるまでを振り返る


ナゼ人気RPG「Fallout」最新作は当初“不評だらけ”だったのか?再評価を受けるまでを振り返る

2018年11月、人気オープンワールドゲームの新作『Fallout76』がリリースされた。
ベゼスダ・ソフトワークスの看板タイトルである『Fallout』の新作であり、今作からオンライン環境でのプレイが可能となった。

ところが、発売直後からあまりにも度が過ぎたバグの多さ(※現在も多い)や、シリーズ恒例のNPCやコンパニオン不在などのせいでそっぽを向かれてしまったのが、本作の不幸である。

筆者の周りでもゲーム好きの友人が発売日当日にはプレイしていたが、頻繁にフリーズしたり、通信環境の不備からか操作キャラがブリーフ一枚で表示されたりと、失笑に次ぐ失笑を経て次々に脱落。結局現在に至るまで、筆者1人しかプレイを継続していない。

初動で大きく躓いたと言っても良い本作だか、この失敗を生かして、今日にいたるまで地道に改善を続けている。未だにアップデートが継続されており、そのたびに着実に面白くなっているのである。

なぜ『Fallout76』はユーザーを失望させたのか

リリース初期の『Fallout76』は、前述のようにNPCが不在だった。『Fallout』と言えば荒廃した土地にたくましく生きるNPC達の存在や、荒くれもののレイダーがなくてはならないと考えるユーザーは多い。

しかし本作の初期の設定は、核戦争後の荒廃したアパラチアを舞台にしており、主人公が目覚める本当に直前まで、人々が屋外で活動していた痕跡こそあるものの、様々なコミュニティが文字通り壊滅してしまっている。

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そのためプレイヤーの分身は、広大なアパラチアを巡ってはホロテープでかつてその土地で暮らしていた人々の声を聞いたり、死体を漁ってクエストを進めてたりしていた。

筆者としては、これはこれで悪くないプレイ体験だと思っているものの、やっぱりどこもかしこも廃墟と死体、あとは化け物やロボットしかいないといった状態は多くのユーザーに戸惑いを招いたようだ。

さらに初期は定期的な飲食が必須、かつシリーズではお馴染みの要素である水源や食物の汚染などの弊害もあり、純粋にちょっとプレイしづらい状態が続いていた。

加えて本当にバグも多く、進行が困難なクエストがメインストーリー上に存在するなど問題も山積みであったため、次々に購入者の離反を生んだのである。

ただ、個人的にはそれらの不満点を鑑みてもプレイ体験の満足度は高かった。特に建築機能が充実していた点がプレイのモチベーションを維持できたポイントだった。

たとえば実際に筆者が住んでいる戸建てに似せた外観と間取りの住居を作ったり、実際に他のプレイヤーが訪れて買い物が可能な某キ●スクっぽい売店を作ってみたり…アイディア次第で遊び方が色々模索できて面白い。

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なぜ『Fallout76』は再評価を受けるようになったのか

初期の初期からこのゲームを遊んでいる身として、やはり最初の方は遊びにくい部分も多かった。ところが、バグに関しては正直今でも目に余る部分はあるものの、遊びの多様化については、初期と現在とでは比べ物にならない。

ベゼスダ社はこの作品に関して堅実なアップデートを繰り返し、徐々に本来目指していたであろう面白さを担保するようになった。そのため現在は、初期とは打って変わって”良ゲー”扱いになっている。

早々に見切って次回作を作っても良さそうなものだったが、初のオンライン要素も含んでいたためか今に至るまで毎週何かしらのアプデが続いているというのが現状だ。

特に反響が大きかったのが2020年4月に実装された「ウェイストランダーズ」という大型アップデート。

荒廃したアパラチアに、他所に避難していた人々が戻って来る。つまりNPCが復活するという趣旨のアプデで、これにより従来の『Fallout』で見られるようなプレイ感が復活した。

NPC導入に際してあちこちで見られた無人の廃墟も修繕され、一部のロケーションは一大都市として再生されるなど見違える復興を遂げている。

この復興を皮切りとし、以降はアパラチアを出て他の土地に移動する「遠征」や、シリーズお馴染みのB.O.Sがアパラチアにやってくる「STEEL DAWN」。

ワールドマップそのものを拡張する大幅なアップデートなども行われており、もう初期とは比較にならないほどに、遊びの要素が増えている。もちろん複数人でのプレイを前提としたイベントも追加で色々と実装されたため、みんなでワイワイ銃口を向ける相手を選ぶ楽しみも増えた。

最近は釣りも実装されたが、ロッドや釣り糸の強度を高めていくことで釣れる魚が増えるなど、妙なサブクエストラインの補強も充実するようになった。

もちろん釣った魚は調理できるし、調理せずに飾ることも可能。また、当初から一部ユーザーにしか認知されていなかったペット機能もだいぶ認知度が高まり、現在では犬や猫も飼育可能となっている。

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異例の大復活を遂げた『Fallout76』。当時投げ出した方も再びアパラチアの復興に手を貸してみては?

2018年と現在とでは、日本国内におけるこのシリーズの認知度も大きく異なるものとなっており、『Fallout76』もゲーム性が向上したこともあって、プレイヤーからの反応も上々なものとなった。

これは往時を知る人にとっては、結構大きな変化である。

一番凄いのは、あれだけ最初に不評を買っておきながら、開発元が投げやりにならず、色んなゲームモードを追加しては反応を窺い、改善に努めた点にある。

たとえばPVP要素のあるゲームモードをかなり時間を掛けたのちに実装したものの、ユーザーがそもそもこれを求めていないと判断すると、きっぱり諦めて丸ごと削除するなど、試行錯誤を続けてきている。

自社の看板ブランドとして『Fallout』を相当大事にしていなければ、今に至るまでの試行錯誤もなかったはず。

もちろん、看板ブランド最新作が低評価を経た際に、早々に同じナンバリングタイトルの続編作りに移行するゲーム会社も姿勢としては間違っていない。一方で、いい意味で諦めが悪いようにも見受けられるベゼスダ社のゲームへの向き合い方は、これもまた一つの正解だろう。(個人的には、こういう諦めの悪いゲーム会社が好きだったりする)

噂によれば今後さらにワールドマップが拡充するとも言われている。既に相当数のロケーションが実装・追加されてきた本作だが、この調子だとまだまだ楽しめそうだ。

初期に購入して「失敗した、これクソゲーだ!」と投げ出した方にこそ、今の本作に再挑戦していただきたい。

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今なら中古で数百円かはでも購入可能なので、試しに、ぜひ。

著者 松本ミゾレ