不規則な睡眠で年間1兆円の経済損失か、ポケモンと筑波大学が8万人調査

株式会社ポケモンは11日、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構との共同調査で、不規則な睡眠習慣による労働生産性の低下が日本全体で年間約1兆円の経済損失に相当するとの推計を発表した。睡眠ゲームアプリ「Pokémon Sleep」の利用者約8万人を対象とした調査で明らかにした。
調査では、日本のユーザー約8万人の睡眠データを分析し、5つの特徴的な睡眠グループに分類した。結果、平日と休日の睡眠時間のズレを示す「ソーシャルジェットラグ」があるユーザー群では、健康的な睡眠を取るグループと比較して労働生産性が著しく低下し、個人の年間経済損失は13.6万円に相当することを示唆した。

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ソーシャルジェットラグとは、仕事や学校などで制約がある平日と、時間に比較的融通の効く休日の入眠・起床時刻のずれを指す。このずれによって、まるで時差ボケをしているかのような身体・精神的な症状が引き起こされる可能性があるというもので、社会的時差ぼけとも呼ばれているという。
調査では79,048人を対象とし、210万晩以上の睡眠データから分析を実施した。睡眠パターンは「健康的な睡眠」「長時間睡眠」「中途覚醒が多い」「寝付きが悪く中途覚醒も多い」「ソーシャルジェットラグ」の5つのグループに分類された。
労働生産性の評価では、「ソーシャルジェットラグ」群と「寝付きが悪く中途覚醒が多い」群で低い結果となった。特に「ソーシャルジェットラグ」群が最も低く、プレゼンティーズムスコアの差分2.96ポイントは個人で年間13.6万円の労働生産性低下に相当する。
この調査結果を基に、給与所得者数4,494万人のうち16%がソーシャルジェットラグ群に該当すると仮定すると、日本全体での経済損失は年間約1兆円に上ると推計された。
睡眠学者で同アプリの監修者である柳沢正史教授は「今回の研究では、日中に高いパフォーマンスを発揮するために、毎日の睡眠の規則正しい『リズム』が重要であることがあらためて示されました」とコメントしている。
柳沢教授はまた、規則正しい睡眠リズムを維持するためには「理想的には平日から十分な睡眠をとること、また、休日に睡眠を延ばすにしても『ミッドスリープタイム』をできるだけ変えないように、休日の前の晩こそ早寝をすることがひとつのコツになります」と助言している。
Association of Objectively Measured Sleep Patterns Using a Smartphone Application with Work Productivity Loss in Japanese Employees