カドカワ、アニメ部門が過去最高業績 『推しの子』だけで約60億円売上…リゼロやダンジョン飯も伸ばす

KADOKAWAが8日に公表した2025年3月期の通期決算では、昨年6月にサイバー攻撃被害が影響し減益となった一方、電子書籍やアニメ製作、ライセンス収入等が好調だったことで、攻撃影響を除外した試算では、売上高11%増、営業利益16%増と成長を記録した。
「アニメ・実写セグメント」は前期の過去最高業績を上回る年比10.9%増の売上高を達成し、50億3200万円の増収に。そのうちアニメ部門に絞った数値では16.2%の成長を見せた。
同部門では企画・製作・配給、映像配信権等の権利許諾などを担当しており、2025年度には『【推しの子】』第2期『ダンジョン飯』『Re:ゼロから始める異世界生活』を筆頭に人気タイトルを放送、配信。自社の出版部門でライトノベル等の知的財産を保有していることが大きな強みとなっている。
当期はこれら作品のヒットが貢献し、配信収入、ゲーム・グッズ向けライセンス収入が成長をけん引した。なお、1~3月単体では『メダリスト』等がヒットしたが、遊技機の版権収入が多かった前期比では減少した。
また、本発表にあわせて、主要IPの作品別売上貢献ランキング(カドカワ単体売上)を公表。『推しの子』が約50億円後半を記録して首位となった。結果は以下の通り。(※正確な数値は未公開)
- 推しの子:50億円後半(原作集英社につきアニメ単体)
- Re:ゼロから始める異世界生活:約40億円
- ダンジョン飯…30億円後半
- オーバーロード…約35億円
- 文豪ストレイドッグス:約20億円
- パンどろぼう…約20億円
- 陰の実力者になりたくて!:20億円
- この素晴らしい世界に祝福を…20億円
- 時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん:約15億円
- ソードアート・オンライン:約15億円(アニメ含まず)
2026年3月期の見通しについては、セグメント全体で増収増益を継続する予測を示した。アニメ部門では『盾の勇者の成り上がり』などの人気シリーズ最新作を含む多様なラインナップにより新作本数が大幅に増加し、好調が継続する見込み。また、実写映像における複数の自社製作・自社配給の劇場作品も増収に寄与するとしている。
今後の中長期戦略として、アニメ部門では人気シリーズへの継続的な投資により安定収益を確保しつつ、自社原作を中心とした新規タイトル開発によるラインナップの多様化を進める。また、海外の配信サービス(Crunchyroll等)との連携強化やマーチャンダイジングの注力、内製比率向上によるIP創出基盤の強化も計画している。