公取委、アニメ制作やゲーム開発など45社にフリーランス取引の是正指導 具体的な事例とは

公正取引委員会は28日、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)に基づき、45の事業者に対して契約書の記載や発注方法、支払期日の定め方などの是正を求める指導を行ったと発表した。
同委員会は、同法の施行後、違反の疑いがある事業者や業種に関する情報収集を進めてきた。その中で、フリーランスとの取引が多い「ゲームソフトウェア業」「アニメーション制作業」「リラクゼーション業」「フィットネスクラブ」の事業者に対して集中的な調査を実施。結果を踏まえ、第22条の規定に基づく指導を行ったとしている。
同日には具体的な事例も公表しており、ゲーム、アニメ分野では以下A社~F社を挙げた。

■ゲームソフトウェア業
・A社は、特許関連の業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、給付を受領する期日を明示していなかった。
・B社は、オンラインゲームのイラスト制作を特定受託事業者に委託しているが、既に給付を受領していたにもかかわらず、給付を受領する期日及び報酬の額を明示していなかった。
・C社は、ゲームソフトに関する企画制作を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、報酬の支払期日を明示していなかった。
・D社は、ゲームイラストやテキスト等の制作を特定受託事業者に委託しているが、特定受託事業者が請求書を提出した日を基準に支払期日を設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
・E社は、同社が取り扱うゲームに関する漫画制作を特定受託事業者に委託しているが、検収日を基準に支払期日を設定しており、給付を受領した日から60日以内に報酬を支払わない場合、期日までの報酬支払義務違反となるおそれがあった。
■アニメーション制作業
・F社は、アニメーション作品の制作業務の全部又は原画の作成、音響演出等の業務を特定受託事業者に委託しているが、業務委託をした場合に直ちに明示が必要な事項のうち、検査完了日並びに報酬の額及び支払期日を明示していなかった。
公正取引委員会は、「今後もフリーランス・事業者間取引適正化等法に違反する疑いのある行為を行っている事業者やその業種について、積極的に情報収集を行い、違反があった場合には、迅速かつ適切に対処する」としており、監視を強化する方針を示した。中小企業庁および厚生労働省と共同で、フリーランスからの申出を受け付けるオンライン窓口を設置しており、今後も申出窓口の周知広報を進め、フリーランスの積極的な申出を促していく考えを示している。