医療ミステリーアニメが献血ルームコラボ 医師の原作者は“イラスト批判”を逆手に「献血の重要性」発信


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東京都赤十字血液センターが1月8日より実施している、新作アニメ「天久鷹央の推理カルテ」と日本赤十字社との献血推進キャンペーン。医療ミステリーとして原作小説も人気の同作とのコラボなだけあって当初から注目されていたが、ソーシャルメディア上で変わった展開を見せている。

今回の「天久鷹央の推理カルテ」コラボでは東京都内の献血ルームや献血バスにて、400mL献血に協力した方を対象に、各自の申告制で希望者全員に「天久鷹央の推理カルテ献血応援カレンダー(A3サイズ)通年用1枚」を進呈するというもの。

しかし、このポスターに関して、あるX上のユーザーがプロモーション用イラストで描かれたのキャラクターの構図や衣装が医療現場の描写としてふさわしくないとして、医療関係者が苦情した方がよい、との批判を各機関にメンション(@〜)して投稿していた。

「私は医師であり原作者」キャンペーンの意義伝える

この内容について、原作者である知念実希人氏は「私は医療関係者(医師)であり、このアニメの原作者です」と自己紹介したうえで、医師の立場から「このポスターは医師である鷹央が看護師のコスプレをした姿であり、実際の医療現場で働く姿ではない」と説明。さらに「このポスターによって献血をしてくださる方が増えれば、そこから作られた血液製剤により多くの方々が救われる」と、キャンペーンの本質的な意義を伝えた。

この投稿は2.5万いいねに迫る拡散を集めており、知念氏は昨日22日、これに重ねて引用する形で、「よく分からないクレームを付けて拡散してくれたおかげで、多くの方が『献血に行った!』と表明してくれたし、献血の重要性も伝えられました」と投稿。実際に関連投稿を見てみると、献血に行った方の報告が行われていたほか、新規視聴者の獲得につながっており、結果的にプラスの情報発信になったようだ。

近年、血液や血液製剤の不足が危惧されているなか、赤十字社側は大学生などの若年層への啓発活動を実施しており、促進の一環として、アニメ、ゲーム等のコンテンツコラボした取り組みを献血ルームが過去幾度となく行っている。特に今回のコラボでは1月8日の本格始動の前に、年末に開催された「コミックマーケット」において先行配布を行っていた。

コミケとの協力関係は1997年から続いており、会場外の国際展示場駅前にて献血エリアを設けている。最近ではアニメやゲーム公式とコラボした限定プレゼントの進呈も行っており、同会場では毎度1,500人ほど協力者を集めた事例も。一時はイラストの表現を巡り議論を巻き起こしていたこともあったが、2023年10月には「永きにわたる献血功労」として金色有功章を受章していた。

著者 編集部 経済・社会担当
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