楽天モバイル、830万回線突破も増加数はやや減速?類似プランが相次ぎ「ギガ増量」競争激化も影響か


アイキャッチ画像

楽天グループの三木谷浩史社長が昨年12月31日、自身のXにて楽天モバイルの回線契約者数が830万人を突破したことを明らかにした。投稿では1000万回線を目指して今年も品質改善や契約数増加に邁進すると表明したが、一部では前回発表時の増加数と比べて減速傾向にあるなどと指摘されている。

同社がこれまで公式に発表した「大台突破」リリースによれば、500万回線が2023年8月28日、600万回線が2023年12月28日、700万回線が2024年6月17日、800万回線が2024年10月21日となっていた。月あたり換算での増加数は16〜25万回線程度だったが、前記発表では直近2ヶ月で15万程度となる。

楽天モバイルは2020年4月より「携帯市場の民主化」を掲げ、携帯キャリア事業へ本格参入し、一ヶ月の使用容量に応じて金額が変わる「Rakuten最強プラン」のみを提供し、低廉かつシンプルな展開が好評に。直近は法人契約プランにも力を入れており、契約数の大幅な増加に貢献していた。

一方で、近年はドコモやKDDI、ソフトバンクといった既存の大手MNOキャリアも月額3000円を割り込むような低廉な「オンライン専用プラン」を展開。提供される基本内容は軒並み同じであるものの、ポイント経済圏の囲い込みや海外利用、カウントフリーといった独自特典を加えることで、ahamo、LINEMO、povoそれぞれで顧客を集めていた。

昨年末には各社「値段据え置きで容量増加」相次ぎ…楽モバにも影響?

そして、これらオンライン専用プランをめぐっては2024年下半期に「無料で10GB増量」などの内容改定を行う事例が相次いでいた。

・ドコモ「ahamo」ソフトバンク「LINEMO」は料金据え置き(3,000円程度)で月20GB→30GBへ増量
・KDDI「povo2.0」は新トッピング「データ追加360GB(365日間)」を26,400円で提供=1カ月あたり30GBを2,200円で利用できるように
・MVNOではあるがUQモバイルやワイモバイルも月額3,200円程度で月20GB→30GB以上(実質33GB)に増量

0110-7m4qn6w7
UQモバイルの例
0110-v0g36tss
ahamoの例
0110-f3eu9cx4
LINEMOベストプランVの例

これにより、従来「20GB以上を利用しつつ、とにかく安価に携帯料金を抑えたい」ニーズでは楽天モバイル(2,980円)が有力候補だったが、現在はahamoやLINEMOも遜色ないコストパフォーマンスを誇るようになっている(30GBまでの条件付き)。

そのため、現時点でドコモやソフトバンクで一般料金プランを利用しているユーザーが新たに低廉なプランに移行する場合、同一キャリア内で展開されているオンライン専用プランを選択するケースも増える。

前述の通り、直近の力強い伸びは法人契約などが牽引していたため、単純な推測はできないが、外的要因の一つとして、一連の「10GB増量」の動きが楽天モバイルへのMNP減少につながった可能性も示唆される。

楽モバの品質改善、地下鉄などでの対応に注目

30GBを超えて利用したい場合、オンライン専用プランの多くは容量超過時に速度制限が設けられるため、20GB以上は月額料金一定でデータ容量無制限の楽天モバイルが引き続き有利になる。(MVNOを含めると日本通信SIMなど有力プランも多数)

ただ、携帯キャリアを選ぶ際には容量や料金だけでなく「つながりやすいか」といった回線品質が重要なのは言うまでもない。楽天モバイルは新規参入や急速なユーザー増加が影響し、特に地下鉄線内などでは品質改善の大きな余地がある。三木谷社長は「地下鉄含めキャパの増強も来年前半にはほぼ完了予定です」とコメントしており、今年もコスパ重視のプランをめぐる動向に注目したい。

著者 山本晃平