総務省、5Gミリ波対応スマホの割引上限を緩和 年末商戦から施行も「iPhone対象外」恩恵は限定的か


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総務省は、5Gネットワークの高度化と普及促進を目指し、ミリ波対応スマートフォンに対する新たな値引き制度を導入する。これにより、12月末からミリ波対応端末の値引き上限額が現行の4万円から5万5000円に引き上げられる。(税抜)

この上限額引き上げは、先日11月20日に行われた情報通信行政・郵政行政審議会にて改正を求める答申を受け決定。12月26日に施行される改正電気通信事業法施行規則により実施が予定されており、年末年始商戦にあわせてキャンペーンも実施可能になっている。

ミリ波は「真の5G体験に必須」としつつも浸透は遠く

今回の新制度は、高価格帯のミリ波対応スマートフォンの購入を後押しする狙いがある。ミリ波は5Gにおける高速・大容量通信を実現する周波数帯域で、低遅延と多数同時接続が可能な特徴を持つものの、現状では電波の届く範囲が狭く、対応端末の普及も全出荷台数の1割に満たないのが実情だ。

今回の値引き上限緩和、具体的には11万円以上の端末に対して5万5000円までの値引きを可能とするほか、価格に応じて割引額は変動し、8万円未満の場合は従来通り50%以下の値引き上限が維持される。

ミリ波対応端末のほとんどは最新のハイエンドモデルが対象で、サムスン Galaxy S24 Ultraやソニー Xperia、グーグル Pixel 9 Pro Foldなどが該当するため、これらの端末では年末年始商戦に合わせた大幅なセール販売にも期待できる。

しかしながら、日本で人気のあるiPhoneをはじめ、Pixel 9の上位機種でさえ国内モデルではミリ波に非対応である現状を鑑みると、値引きの恩恵を受けるのは依然として少ないものとみられる。

ミリ波とは、5G(第5世代移動通信システム)における周波数帯域の一つで、低遅延で高速・大容量通信が特徴。4G設備を転用して利用可能な「Sub6」に比べても高速かつ多数の同時接続に耐用できる一方で、障害物に弱いことや電波の届く範囲が狭いことから、インフラ整備が十分に進んでいない状況にある。

過去のワーキンググループでは構成員より「真の5Gを体験する新サービス創出のためにはミリ波が必須」といった意見が寄せられており、ミリ波普及の支援は通信利用者全体に一定の合理性があるとして、重要な課題と位置づけられていた。

また、これにあわせて不良在庫端末に関する特例ルールも見直されることに。製造が中止されたかに関わらず、事業者の最終調達からの経過期間に応じて、段階的な値引きにを行い、36カ月経過後は定価までの利益提供を可能とすることも決定した。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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