Xの“AIモデル学習利用”を明文化、クリエイターから強い反発相次ぐ 他サービスへ“移住”の動きも注意点あり


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ソーシャルメディアのX(旧Twitter)は17日、利用規約の改定を予告。ユーザーが投稿したコンテンツを機械学習やAIモデルのトレーニングに使用できる権限を、より広げる方針を打ち出したことで、クリエイターからは混乱や懸念が集まっている。

11月15日に改定が予告され、内容が発表された新たな利用規約によると、ユーザーがプラットフォームに投稿したコンテンツに対し、「世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンス(再許諾の権利を含む)を当社に付与するものとします」との文言が明記され、後の項では、生成AIを含む機械学習モデルのトレーニングデータとしての使用権も対象であるとしている。

「Grok」やその他企業での利活用を可能にする明文化

また、同じくXはプライバシーポリシーの改定も同要領で実施しており、「サービス改善」の名目で、「関連会社との間で情報を共有することがあります」と説明。「オプトアウトしない場合(中略)生成型か他のタイプかを問わず、人工知能モデルのトレーニングなど、独自の独立した目的のために情報を使用する場合があります」として、AIモデル学習利用の可能性も範疇に入るようになった。

Xには関係会社として、生成AI系企業のxAIがあり、AIチャットや画像ツール「Grok」をX上で提供している。また、Xに投稿されたコンテンツがAIモデル学習に利用される可能性は以前から利用規約内に存在していたが、今回の改定でより明文化されたこととなる。

この改定をめぐり、X上では同時に通達された「ブロック機能」の変更とともに大きな話題に。特に、オリジナルのイラストや写真を多く投稿するクリエイターからは、混乱や反発の声が多く寄せられ、一部では「移住=別のプラットフォームに移行」しようとする動きまで挙がっている。

また、従来のシステムでは、ユーザーは自身の投稿をAIモデル学習に使用されることを拒否するオプトアウト機能が用意されていた(※)ものの、今回の改定により、そうした選択権が実質的に失われることとなったことも、クリエイターの間で混乱を広げることにつながった。

一方で、同様の規約内容を有するネットサービスは多く存在し、Googleなども自社AI「Gemini」へのコンテンツ利用の可能性を規約中に示している。また、Xと同様のソーシャルメディアにおいても「表立った明文化はされておらず、一部分での利用を想定している」ケースが存在する。そのため、安易な移住は再考の余地があるとも指摘されている。

※オプトアウト機能は「ポストに加えて、Grokでのやり取り、インプット、結果をトレーニングと調整に利用することを許可する」との表記で当該内容と無関係だとされる一方で、Xのセキュリティ部門は「公開投稿をGrokのトレーニングに使用できるかどうかを制御できます」とも説明していた。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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