カドカワ、アニメスタジオ買収で“制作体制確保”に邁進…『陰実』は「売上35億円」スマホゲームの成功糧に展開


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KADOKAWAは1日、グループの新たな統合報告書「KADOKAWA統合報告書2024」を発表。中期計画に掲げる経営戦略に則り「7,000点のIPを創出する力」「IP価値を最大化するグローバル・メディアミックス展開」の2点を強調した。

なかでもアニメ事業とゲーム事業においては、アニメIPの大型化・長寿化とゲーム開発パイプラインの拡充を主軸に据え、グローバル展開の加速を目指す方針を示した。

アニメ事業では、制作スタジオの拡大と他社との業務提携を通じて、安定した制作体制の確保を目標に挙げた。今年7月に発表された「動画工房」の子会社化を筆頭に、同社グループはすでに5社(ENGI、Studio KADAN、レイジングブル、ベルノックスフィルムズ、関連会社のキネマシトラス)を持ち、相互連携を図る。

また、作品あたりの制作話数を増加させ、IPの大型化と長寿化を推進。人材育成面では、専門学校などを運営するグループ会社のバンタンが「KADOKAWAアニメ・声優アカデミー」を開校し、アニメーター及び声優の育成に注力する。

ゲーム事業はアニメIPとの相乗効果も念頭

ゲーム事業では、フロム・ソフトウェアを中心としたコンソールゲーム開発の強化が進行中。中期経営計画の最終年度に向けて、自社パブリッシング範囲の拡大を目指し、開発人員の増強を進めている。また、国内外の有力ゲーム会社への出資と事業連携も積極的に推進するとしている。

一方、モバイルゲーム分野では、自社アニメIPを活用したゲーム化事業の加速を掲げる。同社が版権を持つ『影の実力者になりたくて!』の事例では、直近1年の社内売上高が35億円を突破し、前年期比で5億円増になったと報告。同作はAiming社がスマートフォン向けタイトルをリリースしており、これが大きく寄与しているようだ。

自社パブリッシング体制の整備も進めており、10月からアニメ第3期が始まる『Re:ゼロから始める異世界生活』では10周年記念タイトルとしてスマホゲ一ム「Witch’s Re:surrection」のリリースを控えている。

2024年3月期の同社グループ業績では、アニメ・実写映像セグメントが過去最高を記録。『ダンジョン飯』『【推しの子】』などの人気作品が、国内外での配信やライセンス収入で好調な実績を残している。全社では売上高2,581億円(前年比1.0%増)、営業利益184億円(同28.8%減)となるなど、出版、アニメ、ゲーム、マーチャンダイジングと事業を横断したIP軸展開を進める。

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著者 編集部 経済・社会担当
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