一体何が…ユービーアイソフトが新作不調で株価大暴落、株主らが緊急で公開書簡「非公開化」「経営刷新」など求める


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「アサシンクリード」などで知られるフランスの大手ゲーム開発会社ユービーアイソフトに対し、一部株主らが今月9日付けで経営陣と取締役会宛てに公開書簡を送付した。書簡では、同社の直近の業績低迷に対する深い懸念が表明され、非公開化などを含めた抜本的な改革が求められている。

ユービーアイソフトをめぐっては、コンシューマ向けの新タイトル「スター・ウォーズ 無法者たち」の発売以降、売上状況に陰りが見られたことなどを原因とし、同社株価は連日10%を超える大幅な下落に直面。一時は15ユーロ台に下落し、2014年以来の安値を記録していたほか、以下に示す書簡が公表されたことで、現在は11.6ユーロと12ユーロを割り込む事態になっている。

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投資機関のAJ Investmentsを通じてユービーアイソフトの株式を保有する投資家グループは、直近の四半期業績と主力タイトルの発売延期を受けて、現経営陣の株主価値創出能力に疑問を呈している。特に、「レインボーシックス シージ」や「ディビジョン」シリーズの新作が2025年ラインナップに延期されたこと、2024年第2四半期の収益見通しが下方修正されたことが、懸念材料として挙げられている。

株主グループによれば、競合各社の株価や各種指数が上昇するにも関わらず、ユービーアイソフトの株価が過去1年間で40%以上下落(その後に幅拡大)している点を指摘。同社の潜在的な価値を加味すれば、1株当たり40〜45ユーロが妥当と評価しており、現在の株価が大幅に過小評価されていると主張している。

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また、文書では、経営改善のための具体的な提案を実施。その中には、テンセントグループによる非公開化や各種売却といった株式に直接関与するものや、新CEOの採用による経営陣の刷新などが含まれていた。

なお、直近の第1四半期の決算自体は前年同期比で増収増益となっている。これは今後発売予定の「アサシンクリード シャドウズ」の予約による先行売上などがあるとしているものの、株主らは経営陣に対して「四半期ごとの業績達成に注力するあまり、ゲーマーに卓越した体験を提供するという長期戦略が疎かになっている」との批判を展開していた。

ユービーアイソフト経営陣の対応と、今後の事業戦略の行方が注目される。

著者 編集部 経済・社会担当
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