Xが新たに始めた「消せない広告」困ってるのはユーザーだけじゃない…「勝手に配信される」広告主も困惑


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ソーシャルメディアのXでは、少なくとも本年度から従来にない新たな広告フォーマットの導入が確認されている。その挙動は自由に表示のコントロールができない、つまり「消せない」というものであり、ユーザーから強い不快感が示されている。しかし、このトラブルに頭を悩ませているのはユーザーだけではないようだ。

Xに出稿してないのに「勝手に表示される」ゲーム運営も困惑

たとえば、WEB広告でよく目にするゲーム「俺の甲子園」のケースでは、公式側から声明を発表する事態になっている。運営によると、数年前からXでの広告配信を停止しているにも関わらず、最近になって不本意な形で広告が表示されるようになっているという。その背景には、Xのシステム上の問題が関係しているものと推測されている。

この「消せない広告」とは、Xで新たに確認された広告フォーマットのことである。従来の広告は、ユーザーによる「いいね」や「リポスト」といった操作が可能であり、嫌いな投稿であれば広告主のアカウントをブロックすれば表示されなくなるなど、一定の制御が効いていた。

しかし、この新しいフォーマットでは、そうした操作は一切できず、広告を「一時的に非表示」にするくらいしかオプションがない。例えば、ある広告主のアカウントをブロックしても、その広告は依然として表示され続けるという具合だ。

加えて、通信料を制限する「データセーバー」を有効にしていても動画広告が勝手に再生されるなど、悪い影響を与えかねず、広告主のブランディング低下も免れない。

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ゲーム「ヘブンバーンズレッド」の場合は動画が自動再生される

正体はGoogleから自動的に表示されるもの

この広告の仕組みだが、Xによれば外部の広告ネットワーク、特にGoogleの広告プラットフォームで出稿されたコンテンツを自動的に表示している。つまり、Xが自社で運用する広告ではなく、他社の広告というわけだ。そのため、ユーザーも広告主も従来の広告と同等のコントロールが不可能になり、「ユーザーは非表示できない」「広告主は知らぬうちに配信される」という二重の問題に見舞われているという。

この問題の背景には、Xの広告収益の大幅な減少が推測される。報告によると、Xの直近の米国内での広告収入は前年比で55%以上も減少しているといい、イーロン・マスク氏自身も広告収入が最大50%近く減少したと述べていた。そのため、自社の広告基盤で集客できない不足枠を外部プラットフォームで補おうと図っているようだ。

広告主からの配信収入を主にしているXは窮地に立たされている一方で、この「消せない広告」問題は結果として多方面に影響を与えており、広告主にとって「出稿したいプラットフォーム」になることが求められている。

ただ、広告配信仕組みとしてはGoogleのプラットフォームと同等であるため、Googleアカウントで設定した非表示意思が反映される可能性があるので、自分のアカウントの「マイ アドセンター」などをチェックしてみるとよいかもしれない。

著者 編集部 IT/デジタル担当
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