【決算】サイバー藤田氏、『ウマ娘』級特大ヒットの再現念頭に「IP創出戦略」説明 ニトロプラス子会社化、作り手支援…中長期的な投資へ


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サイバーエージェントは7月31日、2024年9月期第3四半期の決算発表にあわせてオンラインで説明会を実施。藤田晋代表取締役社長はメディア事業の中長期戦略として、IP(知的財産)強化に注力する方針を明らかにした。

新作ヒットなど奏功し増収増益にコミット

この日発表された決算によると、3四半期連続での売上高は前年同期比11.9%増の5,985億円、営業利益は同89.5%増の359億円を記録。2四半期連続での黒字化を達成した「ABEMA」のメディア事業や、グループ会社が開発する「学園アイドルマスター」のヒットが牽引役となり、通期の業績予想も大幅な上方修正を行った。

この好調な業績を背景に、藤田晋代表取締役社長は決算説明会にて「メディア事業」におけるの中長期戦略を公表。藤田氏は、2018年に始まった自社IP『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットを受け、「IPを強化していく方向性がクリアになった」と述べた。

『ウマ娘』は2018年のテレビアニメ化以降、ライブイベントなどのクロスメディア展開を行うなかで、2021年にスマートフォンゲームアプリを発表。リリース直後より空前の特大ヒットを記録し、当時ABEMAの先行投資期として利益圧迫が続いた同社の業績を底上げするなど大きな影響をもたらした。

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ヒットに一定の落ち着きが見られた以降は『ウマ娘』を「10年続く長く愛されるIP」にする目標を掲げており、直近5月には初の劇場アニメ化を行い、初動1カ月弱で興行収入10億越えのヒットを記録、継続的な話題創出を図っている。

説明資料や説明会では自社IP開発の重要性を強調するとともに「クロスメディア展開からゲームの特大ヒット」を果たした『ウマ娘』の成功体験を再現すべく、高いWAU(習慣ユーザー数)を獲得するABEMAを基盤とした「オリジナルIP創出企業の参画&周辺事業の新設」を戦略に掲げた。

この戦略に基づき、同社は制作会社のBABEL LABEL、舞台制作会社のネルケプランニングといったヒットメーカーを子会社化。今四半期には人気ゲーム『刀剣乱舞』で知られるニトロプラスをグループ化するなど、業界内で大きな注目を誘った。

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「ニトロプラス」子会社化、次代の「トキワ荘」など中長期投資進む

特にニトロプラスに関して、藤田氏は『刀剣乱舞』を筆頭に数多くのヒット作を生み出しているとして「グループに入ってもらったことで、共に力を合わせて世界に通用するIPを創出していこう」との意気込みを語った。

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具体的な展開として、ニトロプラスとの新作ゲーム『Dolls Nest』を今年中にリリース予定と説明し「とても楽しみにしております」と期待を寄せた。また、中長期的な投資という観点では、優良IPの作り手を支援する取り組みとして、新たに「漫画アパートメント」を設立する計画にも言及。

同社は7月中に漫画編集者・林士平氏を寮長兼プロデューサーに迎え、漫画を描くことだけに集中できる環境を整えた寮施設「MANGA APARTMENT VUY」を2025年に運営すると発表していた。これについて、藤田氏は「トキワ荘」のようなものと紹介し、「漫画家の卵を育てて一緒に作っていくことで、原作に近いところで展開IPを創出していこう」と展望を語っていた。

オタク総研編集部

著者 オタク総研編集部
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