対戦格闘ゲームはどのようにして衰退から復活したのか 変遷を振り返る


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対戦格闘ゲームをさらに厳しい状況に追い込んだのが、1990年代後半に登場した『Dance Dance Revolution』を始めとする「音ゲー」の数々です。スタイリッシュで取っつきやすい「音ゲー」は一般層を瞬く間に虜にしました。こうして数年前までは50円玉や100円玉が積み重ねられていた対戦台は、急速に数を減らしていくこととなったのです。

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KONAMIが導入したリズムゲーム「Dance Dance Revolution」JeffTheGamrWIKI (https://commons.wikimedia.org/wiki/File:DDR_White.jpg), “DDR White”,https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/legalcode

冬の時代と呼ばれる時期を迎えた対戦格闘ゲームですが、熱いプレイヤーはまだ十分残っており、エンターブレインにより「闘劇」と呼ばれる大会が2003年から2012年にかけて開催されるなど、一定の存在感を保ち続けていましたが、先細りの状況にあることは否めませんでした。

ここで行動を起こしたのが、やはりベテラン層でした。かつての対戦格闘ゲームは自分たちが見つけたコンボや特殊な挙動は「隠し技」として同じゲームセンターの中の良い常連など、限られた人間同士で共有するのが普通でした。しかしこのままでは対戦格闘ゲームの文化そのものが失われる危機を迎える。そんな危機感を覚えたベテラン勢が興味を持ってくれた初心者に戦い方をレクチャーするようになり、状況が変化を見せたのです。

2012年からプロゲーマーとして活躍を続ける板橋ザンギエフ氏(DetonatioN FocusMe – Fighting Games部門所属)は当時の状況を

「そうですね、ビギナーさんに対しては自然とサポートするような流れになっていきましたね。
技の使い方や連携を理解してもらうことでモチベ向上を促していく。付け加えるなら、攻略だけでなく”楽しさを共有する”というニュアンスでしょうか。

あのプレイヤーが面白いだとか、最近あのゲームセンターがアツイだとか。
さらには大会・イベント等を積極的に行い、プレイヤー同士のコミュニケーションが促進され、徐々にコミュニティが形成されていく。

新作タイトルが待ち遠しい状態でも、みんなでゲームセンターライフを楽しんでいくビジョンを大事にしていました」

と語り、「対戦格闘ゲーム」、そして皆が集う「ゲームセンター」を盛り上げるため、積極的に行動していたことを明かしてくれました。

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板橋ザンギエフさん

2024年現在、かつてどこにでもあったビデオゲーム中心のゲームセンターを見かけることも少なくなりました。しかしゲームセンターが生み出し、対戦格闘ゲームを愛する人々が守り抜いた文化はしっかりと根付いています。きっと今も、どこかで誰かと誰かが戦い続けているのでしょう。(早川清一朗)

©CAPCOM

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著者 早川清一朗
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