『鬼滅の刃「柱稽古編」』アニオリで倍増した鬼舞辻無惨の恐怖と風格…1時間拡大版の最終話はどうなる?


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毎週日曜に放送のテレビアニメ『鬼滅の刃「柱稽古編」』にてこれまで描かれてきた柱との稽古。常人ではついていくことすら困難な特訓に加え、伊黒小芭内から嫉妬を受けたり不死川兄弟の喧嘩に巻き込まれたり…。炭治郎にとっていろんな意味で過酷な稽古だったのは間違いないだろう。だが、第7話でついに柱稽古が区切りを迎えることになる。

※以下、アニメ第7話に関する内容が含まれます。ご注意ください。

悲鳴嶼が疑り深い理由とは?

炭治郎は第7話の冒頭で、岩を一町先まで押して動かすという悲鳴嶼行冥から課せられた最後の特訓を見事にクリアした。あまりの過酷さに脱水症状に陥ってしまう炭治郎は、やってきた悲鳴嶼に水をかけられなんとか助かる。「岩の訓練も達成した。それに加えて里での正しき行動。私は君を認める……」と語る悲鳴嶼に炭治郎が尋ねたのがきっかけで、回想が始まる。

悲鳴嶼は昔、寺で身寄りのない子供たちを育てていた。しかし、ある日鬼と遭遇した子供が、自分が助かるために寺にいた悲鳴嶼と8人の子供たちを鬼に食わせるといったのだ。子供を守るために懸命に戦った悲鳴嶼だが、子供の1人である沙代が混乱し、悲鳴嶼がみんなを殺したと証言。悲鳴嶼は殺人の罪で投獄されてしまう。沙代に感謝されることもなく裏切られたような形になったのが原因で、悲鳴嶼は疑り深くなってしまったのだ。

しかし、素直でひたむきな炭治郎を見て、悲鳴嶼の心境が変わった。話を聞いて思わず涙を流す炭治郎の頭に、そっと手をのせて撫でる悲鳴嶼。子供らしい無邪気な笑顔を見せる炭治郎はとてもうれしそうで、かつて悲鳴嶼がかわいがっていた沙代の姿と重なる。胸がジーンとするようなシーンとなった。

原作にはない鬼舞辻の“歩く”姿

第7話で視聴者の度肝を抜いたのが、ラストの鬼舞辻無惨が産屋敷邸に現れるシーンだ。突然の襲来による驚きもさることながら、門から堂々と侵入した鬼舞辻が産屋敷耀哉のもとへ歩いて向かう姿を長尺で描いて見せた。これは原作にない描写であり、アニオリ演出の1つ。鬼舞辻がコツコツと靴音を響かせながら歩くシーンは、アニメ化するにあたって尺にゆとりがある「柱稽古編」にしかできない贅沢な演出だといえるだろう。

また、「柱稽古編」のエンディング映像でも鬼舞辻が歩く姿が。実はこれが第7話のラストに繋がる伏線の役割をしていたのだ。エンディング主題歌であるHYDE × MY FIRST STORYの「永久 -トコシエ-」も通常のエンディングサイズより長いサイズで流れ、鬼舞辻が歩み迫る恐怖を倍増させた。産屋敷のもとにたどり着き「何とも醜悪な姿だな。産屋敷」とこぼす鬼舞辻からは、ラスボスにふさわしい風格が漂う。

最終話である第8話「柱・結集」は、いよいよ鬼舞辻と炭治郎や柱が対峙することになりそうだ。突然の襲撃にもかかわらず焦った様子を見せない産屋敷に、鬼舞辻を倒す算段はあるのだろうか。そして、最終話は60分の拡大版で放送される。第7話のラストのようなじっくり描かれるアニオリ演出がまた見られそうな予感。『鬼滅の刃』最大の見どころといってもいい「無限城編」にどのように繋がるのか、注目だ。(文:まわる まがり)

(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

まわる まがり

著者 まわる まがり
主にアニメについての記事を書くライター。コラムや映画の作品評、マンガのレビューを手がける。