KADOKAWA、システム障害に関する第3報を公表　出版は物流中心に影響続く、経理機能は7月初旬に復旧見込み

KADOKAWAは27日、6月上旬より継続的に発生しているサイバー攻撃を発端とした大規模なシステム障害について、3度目となる続報を発表。グループ内各事業での現状と、今後の復旧見通しについて説明した。

同社は出版事業を中核にゲーム事業や「ニコニコ」を提供するWebサービス事業、教育事業などを展開しており、一連のシステム障害ではグループの事業全体に影響が及んでいたことが前回の発表（第2報）で明らかになっていた。

この度、第3報では今後の対応として「事業活動の根幹である経理機能の立て直しと、売上規模が大きい出版事業の製造・物流機能の正常化を最優先事項として取り組んでいる」と表明しており、そのうち経理機能については「アナログ対応も含め7月初旬に復旧する目途が立っております」と発表した。

出版と経理機能の正常化を最優先に対応

出版事業のうち製造分野では、新刊が「平常時の水準を維持」しているといい、重版などに優先順位を付けて製造を行っていることを明かした。物流についても新刊は平常時水準の出版部数を維持している一方で、既刊は自社システムへの依存が高いことから、平常時の3分の一程度になっているという。

グッズ販売等MD事業については、卸売の影響は限定的だとしたうえで「出荷機能についても概ね平常通りに回復しております」と説明。Webサービス事業では、ニコニコ関連サービスにおいて「Re:仮」と題した臨時サービスの提供も始まっているほか、「ニコニコ漫画 スマートフォン版Webサイト」などは6月28日より提供を再開すると、既出発表を通達した。

そして、一部ユーザーから懸念されている会員情報の漏洩については、外部専門機関等の支援を受けながら調査を実施している状況だとし、「7月中には、調査結果に基づくより正確な情報が得られる見通し」としている。

■出版事業＜製造＞
・システムに依存しない対応も進め、製造への影響の最小化に努めております。
・国内紙書籍においては、重版の製造に関しては優先順位をつけて対応しておりますが、新刊の製造は平常時の水準を維持しております。
・電子書籍については、システム障害発生直後に一部配信が遅れるケースがございましたが、現在は制作への影響は発生しておりません。

■出版事業＜物流＞
・システムに依存しない対応も進め、物流への影響の最小化に努めております。
・当社の書籍出荷の割合は、新刊・既刊がそれぞれ約5割（総出荷金額ベース）です。新刊については、平常時と同等の水準の出荷部数を維持しております。
・一方、自社システムの影響度が高い既刊においては、販売会社の協力を得ながら可能な限り書店からの注文に応じて出荷を進めておりますが、現時点では平常時の3分の1程度の出荷部数となっております。

■Webサービス事業
・ニコニコファミリーのサービス全般、およびニコニコアカウントによる外部サービスへのログインも引き続き停止中です。
・一方で「ニコニコ動画（Re:仮）」に続いて、「ニコニコ生放送（Re:仮）」や「ニコニ・コモンズ（Re:仮）」などのユーザー向け臨時サービスの提供を開始したことに加え、「ニコニコ漫画 スマートフォン版Webサイト」、「NicoFT」など既存サービスについても再開いたしました。また、既存サービスである「ニコニコチャンネルプラス」については、6月28日（金）の再開を予定しております。

■MD（マーチャンダイジング）事業
・商品の卸売に関しては、現時点で発生している影響は限定的であり、出荷機能についても概ね平常通りに回復しております。
（自社オンラインショップの影響）
・当社が提供するアカウント認証機能に不具合が生じていることにより、同機能の導入店において当該ユーザーがログインできない障害が発生しております。なお、これらショップの一部では代替の認証機能導入の検討・準備を進めております。
・アクセスができない障害が発生しているオンラインショップについては、暫定的に当社が運営する別のショップ内に臨時ページを開設するなどの対応をしております。