『声優ラジオのウラオモテ』声優志望が見たら「震え上がっちゃうかも」豊田萌絵に聞く、リアルすぎる作品の魅力とは【インタビュー特集】


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第26回電撃小説大賞で大賞を受賞した、二月公さんによる小説シリーズ『声優ラジオのウラオモテ』がTVアニメ化。4月10日(水)からTOKYO MXにて放送が始まる。

本作は、オモテの顔は清楚可愛いアイドル声優、ウラの顔は生粋のギャルである歌種やすみ(本名:佐藤由美子)と、オモテの顔はおっとりな正統派アイドル声優、ウラの顔は根暗な夕暮夕陽(本名:渡辺千佳)のふたりが、険悪な仲とウラの顔を隠しながらラジオパーソナリティーを務める作品。やすみの声優は伊藤美来、夕陽を豊田萌絵が演じる。

公私共に付き合いがあるそうだが、実はふたりで主演を担当するのは今作が初めて。声優ラジオのパーソナリティーを務めるキャラクターたちを、声優が演じるという不思議な構造の作品に挑戦した豊田に、本作の見どころなどを訊いた。

豊田萌絵と伊藤美来、接点振り返り「感慨深い」

――まず、本作のオファーを受けた時の心境から教えてください。

豊田さん(以下略):私と美来がパーソナリティーを務めていた『Pyxisの夜空の下 de Meeting』というラジオがあったんですけど、そのワンコーナーの中で夕陽とやすみが私たちのラジオ内の枠を借りてパーソナリティーを務めるという企画でした。ほぼ台本がない状態だったんですけど、私は夕暮夕陽として、美来は歌種やすみとして掛け合うって内容で、今思うとすごい無茶ぶりでした(笑)。ワンコーナーとして始まってからの満を持してのアニメ化だったので、私も美来も感慨深かったです。

――夕暮夕陽(渡辺千佳)を演じる上で、意識したことや大変だったことを教えてください。

オモテとウラでギャップの大きなキャラクターなので、そこの演じ分けをちゃんとやろうと思っていました。ただ、私自身が本当に夕陽と真逆の性格で、自分にはない引き出しがたくさんあるキャラクターだったんです。途中から親心みたいなものも生まれてきちゃって「なんでそんなこと言うの?」とか「生きにくいね……」と思いながらも、でもそれが夕陽の良さだったりするところもあるので、そこは大事にしようと思いながら演じてました。

――アフレコで印象に残っていることはありますか?

声優さんを題材にした作品で、声優さんとして演じるので、マトリョーシカ構造のアフレコなんです。テレビの中のテレビの中のテレビみたいな(笑)。音響監督の人が作中に出てくるので「これって音響監督さんを参考にしたらいいんですか?」とか「こんな感じこういう人いるよね」って、業界あるあるをみんなで喋りながらのアフレコ現場でした。リアリティたっぷりに演じられたので楽しかったです。

――声優の仕事を声優が演じるって不思議な構図ですよね。

アニメ的な表現をしちゃうと、テレビの中のテレビっていうのが伝わりにくくなっちゃうんですよ。アニメの食事シーンで「ハムっ」とか「モグモグ」みたいなオノマトペがあるじゃないですか。あれを全部やらないようにするんです。作中の夕陽たちは私達3次元と変わらない食事をするんですけど、作中に出てくるアフレコで夕陽たちがご飯を食べる演技をする時は「ハムっ」とか「モグモグ」とかの音をいれるという、細かいんですけど世界線を分けるみたいな演出をしていましたね。

多様な意味での“ウラオモテ”読み解いて

――細かい部分にもこだわっていると。やはり、現実と作品で重なる部分がありましたか?

私も美来もウラオモテが本当になくて、ラジオでも赤裸々にいろんなトークをしてきていたので、やすみちゃんと夕陽ちゃんの方がちゃんと声優をやっているなって思っていました(笑)。この作品から私たちふたりに興味を持った人が、ラジオのアーカイブを見た時にビックリするかもしれない。ある意味、そういうウラオモテはあるかもしれないですね。

――伊藤さんとはアフレコ現場も一緒になることが多かったですか?

事務所も同じなので、基本的にはもうずっと一緒です。やっぱり、美来がいると安心感がありますね。それが普通という状況なので、ホームに一気になる感じがして「ありがてー」って思いながらやっています。

――伊藤さんとは普段どういった会話をされるのでしょうか。

なんかでもすごいトピックスが別にあるわけではない気がする……。さすがにここまでの付き合いになると、ナチュラルに気を使わないので、無言でも辛くないのがすごく楽。初対面の人だと、何を喋ろうとか何に触れようかみたいなことを考えがちですけど、そういうのを考えず普通のテンションで話せます。ただ話しの内容は全くないです(笑)。

――本作で演じる上で、おふたりで何か相談し合ったりとかは?

二月公先生が私たちのことをすごく愛してくれているのが伝わる作品になっているので、まずはそこの期待にしっかり応えたいねというのがふたりの共通認識でした。あとは、作品が本当に面白いですし、先生が私たちに寄り添って作ってくれているのが伝わるので、ある意味プレッシャーは感じなかったかもしれないです。

声優志望が見たら「震え上がっちゃうかも」自身の経験照らし魅力伝える

――本作の見どころを教えてください。

毎回私たちも言ってるんですけど、二月公先生が女性声優を本当にやってたんじゃないかって思うくらい、心の機微や業界的な細かい部分、そしてキャラクター一人ひとりというか、女の子の気持ちが分かりすぎている(笑)。こういう時にこういう嫉妬心が芽生えるよねとか、でもそういう気持ちになった自分に対しても嫌悪感抱く流れとか。ただ嫉妬で終わるだけじゃなくて、その先の感情が作品に投影されています。

――二月公先生の内面の描き方が凄いんですよね。

女子高生の独特の考え方がピンポイントで描かれているんです。多分私ぐらいの年齢になると「確かにそんな時期もあったな」ぐらいの気持ちで読めるんですけど、女子高生時代だったら、私も多分こうなってたっていう描かれ方なので、本当にスゴイ!

――本作をオススメしたい人はいますか?

声優志望の方は観たら逆に震え上がっちゃうかもしれない、あまりにもリアルすぎて(笑)。でも覚悟は決まると思うので。ふわっとアニメが好きとか、この声優さんに憧れててみたいなぐらいの方が観たら、息を飲む作品になっている気がしていますね。逆に本気で声優さんになりたい人には、ここまでアフレコ現場の空気感をリアルに描いている作品はなかなかないので、すごい参考になると思います。とは言え、声優に興味あるとか関係なしに誰が見ても感情移入ができる。特に由美子がいろんな面を見せてくれるので、人間ドラマ好きにはもってこいの作品だと思います。

――夕暮夕陽は声優デビュー2年目というキャラクターです。豊田さんの声優2年目だった時の思い出は?

2年目のキャラクターっていうのが本当にリアルで、私も入って2年目ぐらいの時にオタクウケを考えてキャラクターを作っていたんですよ。なので、夕陽がアイドル声優を全うしようと頑張って作っている姿とが懐かしくて(笑)。私としては黒歴史ではないんですけど、観ていて傷口に塩を塗られている感覚がありました、「うわー!痛たたた、分かる」みたいな。

 

――現役声優が観ても感情が揺さぶられる珍しい作品ですね(笑)。キャラ作りはもう止めてしまったのですか?

4年目くらいで脱ぎましたね、そのキャラは。声優を始めたのは10代のそれこそ高校3年生の時でしたけど、夕陽も高校生時代からデビューしていて、そういうキャラセッティング頑張っているみたいなのがすごく自分に重なっていたので、ある意味やりやすかった。この先、夕陽とやすみがどういう声優になっていくのかも楽しみです。

――最後に、アニメを楽しみにしている視聴者の方々にメッセージをお願いしたいです。

『声優ラジオのウラオモテ』という作品は、とにかく先生の声優への愛とリスペクトが詰まっているので、もうそれは絶対に感じ取っていただけるんじゃないかなと思います。そして、人間ドラマの部分も私はすごく推したいポイントで、キャラクターそれぞれの成長とか葛藤とか、朝ドラにできるんじゃないかなと思うレベルでドラマティックで、声優志望の方、声優さん、ファン以外の方でも楽しめる作品に絶対なっています。作品のタイトルとか職業とか、ラジオだったら興味ないからと切っちゃう人とかいそうじゃないですか。そういう人たちに「勿体ない」と思わせるぐらいなので、楽しみにしていただけたらなと思います。

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インタビューショット

『声優ラジオのウラオモテ』作品情報

「夕陽と~」「やすみの! せーのっ!」 「「コーコーセーラジオ~!」」
偶然にも同じ高校に通う仲良し声優コンビが教室の空気をそのままお届けしちゃう、ほんわかラジオ番組がスタート!
でもパーソナリティふたりの素顔は、アイドル声優とは真逆も真逆、相性最悪なギャル×根暗地味子で!?
「……何その眩しさ。本当びっくりするぐらい普段とキャラ違うな『夕暮夕陽』、いつもの根暗はどうしたよ?」
「……あなたこそ、その頭わるそうな見た目で『歌種やすみ』の可愛い声を出すのはやめてほしいわ」
オモテは仲良し、ウラでは修羅場、収録が終われば罵倒の嵐!こんなやつとコンビなんて絶対無理、でもオンエアは待ってくれない…!プロ根性で世界をダマせ! バレたら終わりの青春声優エンタテインメント、NOW ON AIR!!

原作:二月公『声優ラジオのウラオモテ』(KADOKAWA「電撃文庫」刊)/原作イラスト:さばみぞれ
アニメーション制作:CONNECT

歌種やすみ(佐藤由美子):伊藤美来
夕暮夕陽(渡辺千佳):豊田萌絵
桜並木乙女:長谷川育美
柚日咲めくる:東山奈央

©2023 ニ月 公/KADOKAWA/声優ラジオのウラオモテ製作委員会

著者 編集部 アニメ情報担当