この春注目の「CGアニメ」2作品が同時スタート “セルルック”と“挑戦的”似て非なる魅力とは


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新年度が始まって早6日、4月より放送開始となる“春クール”の新作アニメが続々と始まる中、昨日4月5日(金)の深夜には『アイドルマスター シャイニーカラーズ』と『ガールズバンドクライ』の2作品が同時に放送を開始した。

金曜深夜という同じ時間帯に放送される2作品はいずれも映像制作に3DCGを取り入れた“CGアニメ”という共通点があるものの、作風は全くと言ってもよいほど異なり、一緒くたに括れない魅力をそれぞれ放っている。

アイドルたちの繊細な動き捉える「シャニアニ」

前者の『アイドルマスターシャイニーカラーズ(以下「シャニアニ」)』はバンダイナムコが手掛ける「アイドルマスター」シリーズのブランド、シャイニーカラーズのアイドルたちが登場するアニメ作品として、ポリゴン・ピクチュアズが制作を担当している。放送開始前に続編の制作が決まるなど、高い注目を集めている本作だが、映像については“CGらしさ”を全面に押し出さず、セルルックな作風であることが特徴として挙げられる。

そのため、一見すると通常の作画(2D)アニメと同様のタッチであることから、CGアニメ特有のとっつきにくさは比較的少ない。3Dモデリング特有の陰影や立体感を抑えつつも、繊細なモーションを通じて個々のアイドルの魅力を引き出す映像に仕上がっている。その一方で、コマ打ち(※)の間隔が少し広めなのか、「気持ちカクカクしている?」といった感想も見受けられていた。

そんな、ある種の“作画アニメらしさ”を求めた『シャニアニ』とは裏腹に、同じCGと思えないほどに異なる作風で展開されているのが、同日放送開始のTVアニメ『ガールズバンドクライ』。

東映アニメが「ガールズバンドクライ」で挑むイラストルックCG

本作はガールズバンドを主題に据えた、東映アニメーション単独製作(≠製作委員会方式)による完全新作オリジナルアニメ作品。映像は自社内で手掛けており、『スラムダンク』や『ワンピース』『ドラゴンボール』シリーズなどの世界的人気を誇る作品を多数生み出した同社が持つ、最先端の技術力を集結したアニメーション表現に挑む。

作風としては、先の『シャニアニ』とは正反対と言えるようなイラストルックが特徴的で、“CGアニメらしさ全開”であることがうかがえる。そのため、2Dアニメと比較するとかなりクセの強さが際立っており、作品を楽しむためには少々の慣れが必要になるかもしれない。

また、映像についてはもう一つ特筆すべきポイントとして、本作は「1コマ打ち」で制作されている点が挙げられる。1コマ打ち(※)は「3コマ打ち」「2コマ打ち」と比較するとよりなめらかな映像に仕上がる一方で、制作コストも数倍に跳ね上がることから、国内の2Dアニメではあまり採用されていない。

しかし、体を使った表現やギターの運指といった、動きの激しいシーンの多いバンドアニメにおいてはセルルックCGよりも繊細な表現が可能になるといい、「作画からCGへ」というバンドアニメのトレンドに乗りつつ、その先を見据えた新たな映像表現に挑戦しているという。(制作プロデューサー談)

セルルックとチャレンジャーという、似て非なる今期注目の2作品。CGアニメとなると、どうしても個人の趣向に依存してしまうところも多々あるが、それぞれの特徴を確かめながら観てみると、より深い作品の楽しみ方ができそうだ。TVアニメ『アイドルマスターシャイニーカラーズ』はテレビ東京系列にて毎週金曜日25時30分から、TVアニメ『ガールズバンドクライ』はTOKYO MXほかにて毎週金曜日24時30分からそれぞれ放送中。

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※コマ打ち…1秒間に切替える画像の分量。「1コマ打ち」は1秒間に24枚の画像を切り替えて、24枚/秒で制作する手法。通常は12枚/秒(2コマ打ち)や8枚/秒(3コマ打ち)が多い。

©Bandai Namco Entertainment Inc.
©東映アニメーション

著者 編集部 アニメ情報担当