Rokid Max:215インチ相当の大画面で映像を堪能、スマートグラス使用感レビュー 視力補正機能も搭載
手軽に使える製品が増えてきている新たなガジェット「ARグラス」「スマートグラス」ですが、NTTドコモも国内取扱いを行っている「Rokid Max」は215インチ相当の大画面で映像やゲームを楽しめるだけでなく、視力調整機能も備えた高機能なスマートグラスとして知られています。
今回は実際にRokid Maxを使ってみて感じた魅力的な点、そして長く使ってみた結果見えてきた改善点について、他社製品と比較しながら紹介します。(販売開始は昨年夏なので特段新製品ではない点ご了承ください)
眼の前に大画面、薄型軽量で着け心地良好
Rokid Max着用することで、6メートルから最大215インチの大画面を見るような感覚で投影され、迫力ある映像体験やゲームプレイ体験ができるというデバイスです。同様の製品は世界シェアNo.1のXREAL(旧Nreal)を筆頭にVITURE、TCL等から複数発売されています。
サングラス上の筐体であることからしばしば「ARグラス」とも称されてはいますが、実際の用途としては、今見ている画面をそのまま投影するのが主であるため、SF作品でよく見る「着用するだけで世界が変わる…!」ようなものでは無いですが、迫力ある映像を楽しめることには変わりません。
ボディの重量は75gと他製品と同様に非常に軽量、両目のディスプレイ表示部も比較的コンパクトな設計になっており、皮脂で汚れたり熱がこもったり(後述)することは起こりにくそうです。
視力補正ダイヤルで視度調整ができる
Rokid Maxが有する最大の特徴として「視力補正ダイヤルで視度調整ができる」ことが挙げられます。デバイスの両端にはダイヤルが搭載されており、0.00D〜-6.00Dの範囲で自分の視力に合わせ、鮮明な映像を見られるように調整することが可能です。
視力調整自体は他製品でも、専用の補正レンズを作ることで可能ですが、Rokid Maxではその手間が省ける上に、都度変化する環境に応じて動的に調整できるため、近視をお持ちの方は問答無用でオススメ。逆に言うならば、自分にピッタリの調整レンズさえ用意できればダイヤル機構は不要なので、その点は駆け引きになるかもしれません。
※追記:本機能は軽度近視程度の補正のみに対応しており、乱視や遠視に対しては効用はありません。屈折異常弱視を罹患する筆者の場合、近視補正の部分に限り補正が作用していることが伺えたため、初稿時、一部表現に語弊が含まれておりました。
視野角広め、高性能ディスプレイ搭載
その他の性能面をみてみると、Rokid Maxは解像度は1920×1080ピクセル、フレームレートは120Hzに対応したマイクロOLEDディスプレイをデバイス上部に搭載し、反射板を用いてことで空間上に投影しています。視野角について約50度と他製品と比べても広め。より大迫力な映像を楽しめるだけでなく、視野の窮屈さも軽減されます。(ただ、これでも50度なので、前述の通り過度な期待は禁物)
映像の色彩やコントラストも良好で、映画やゲームを見るときに没入感が高まるものの、他製品と比べると少し黄色が強めに出ているため、この点は使う人の好みに依存しそうです。また、スピーカーが内蔵されており、他社「Xreal Air 2」系列と比べるとやや低音が弱い印象ですが、それでも迫力があるサウンドが体験できました。
スマートグラスは映像視聴やデスクワーク、ゲームプレイといった多様なユースケースにおいて、TPOを問わずに大画面を堪能できるのが魅力の一つであり、特にフライトでの利用は非常におすすめです。機内で動画や映画を楽しみたい場合、スマホを手に持ったまま観ると手が疲れる、横の人に見られたくない…といった問題を解決してくれるだけでなく、付属の暗転用プレートを利用することで、狭い機内が映画館に様変わり。プライベート空間を創出してくれます。
Rokid StationでAndroid TVに早変わり
Rokid Maxは、単体で使用するのが基本ですが、Android TVを搭載したデバイス「Rokid Station」と併用することで、より使い道の幅が広がります。Rokid Stationは例えるならば「超コンパクトなSTB(セットトップボックス)」のようなもので、Rokid MaxとUSB-Cケーブルで接続するだけでNetflixやPrimeビデオ、YouTubeなどのオンデマンドサービスや、Google Playストアでダウンロードできるアプリやゲームが利用可能です。バッテリー駆動時間も約5時間と比較的長く、携帯性にも富んでいます。
ここからは改善点、とりわけ他社製品を比較した場合での気になった点をいくつか挙げます。
発熱が気になる
これまでXreal air等の複数のスマートグラスを着用していた身として、Rokid Maxはかなり発熱を感じるなという印象を受けました。これは筐体の省スペース化や高性能ディスプレイの搭載など、複数の要因が影響しているものと思われ、特に額〜眉間に接近する部分は長時間使用しているとそれなりに気になります。
実際に30分ほど使用してみた感じだと、輝度を下げると少し発熱は抑えられるようです。2月の真冬の季節ですので「発熱したくらいが暖かくていいな」とポジティブに捉えようとしましたが、真夏にこれは……と思うと改善点だなとは感じました。
対応機種が限られる
これはRokid Maxに限らずスマートグラス全体に言えることですが、利用できる環境が制限されることも改善点に挙げられます。スマートフォンやPCなどと接続して、外部ディスプレイとしての利用が最もメジャーですが、接続元が「USB-Cでの出力に対応している」ことが対応機種の条件になっているため、事前に確認する必要があります。
例えば直近発売のMacやUSB-C化で話題になったiPhone 15シリーズ、一部のWindowsパソコンやサムスン製のAndroidスマートフォンは対応していますが、Nintendo Switch等の家庭用ゲーム機は別売の専用アダプタ「Rokid Hub」を経由する必要があります。この問題を解決すべく、単体でワイヤレスでの映像受信機能を備えるデバイスも現れ始めていますが、Rokid Maxは未対応ですので、必ず事前にお使いの端末が対応しているかを確認するのが良いでしょう。
Rokid Maxは、視力補正機能や高画質・高音質のディスプレイ、Android TV搭載のRokid Stationなど、非常に高スペックなスマートグラスに仕上がっており、映像やゲームを大画面で楽しむことが可能です。一方で、発熱がやや気になったり、対応機種が限られたりと改善点も言及しましたが、これは比較的長い時間使用した場合に見えてきたポイントですので、購入時の参考にしてみてください。