Switchエミュレータ最大手「yuzu」開発元、任天堂からの賠償金3.6億円の支払いに応じると発表 プロジェクトも公開停止


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Nintendo Switchのゲームタイトルをパソコン上で動作させるエミュレータソフトウェア「yuzu」を巡り、yuzuの開発元てあるTropic Haze氏が任天堂に対し240万ドル(≒3.57億円)の損害賠償金の支払いに合意し、プロジェクトの公開停止を行ったことがわかった。

yuzuは任天堂が発売されているNintendo Switch向けに制作されたゲームタイトルをパソコン上で動作させる最大手のエミュレータプロジェクトとして、同名のWindows向けソフトウェアがオープンソースにて開発されていた。

Nintendo Switchが発売された直後の2017年より開発が進められており、多くのタイトルで安定動作が可能と謳っていた同プロジェクトだが、本年2月27日に任天堂がyuzuの開発元であるTropic Haze氏に対して「GitHubを通じて開発されている点がDMCA(デジタルミレニアム著作権法)の規定に違反している」「膨大な規模での海賊行為を助長している」として提訴したことが明らかに。

これを受けて、3月4日にTropic Haze氏と任天堂の両者は共同声明にて、240万ドルの損害賠償金の支払いに同意したことを発表。加えて、任天堂が請求していた「yuzuの開発、ホスティング、yuzuのコードや機能の配布、Yuzuを宣伝するウェブサイトやソーシャルメディアの運営、任天堂の著作権保護を回避する一切の行為をやめる」旨についても同意したことも明かした。

本件について、yuzuプロジェクトの公式サイトやSNSでは開発元による発表文を公表。「yuzuチームは常に海賊行為に反対してきました。」とスタンスを表明しつつも、yuzuを通じて発売前に流出したROM(ゲームデータ)でのプレイを助長するといった行為について「深く失望しました。」とコメント。「海賊版行為は決して私たちの意図するところではありませんし、終わらせるべきだと考えています。」として、今回の決断に至ったと説明した。

yuzuプロジェクト公式が発表した声明文

また、今回の提訴により、同氏が開発していたニンテンドー3DSエミュレータ「Citra」についてもソースコードの公開停止を含めた同様の対応を行ったことを報告しており、同様のコミュニティではその他の家庭用ゲーム機エミュレータへの影響は免れないとする意見が寄せられている。