100万DLのゲームボーイエミュ「Pizza Boy」作者がPlayストアから自主削除「家族を優先することにした」訴訟リスク回避の狙いか
Android向けにゲームボーイアドバンスエミュレータプロジェクト「Pizza Emulators」について、すべての関連アプリをGoogle Playストアから自主的に削除することを作者が公表。12日現在、Playストアのページは非公開扱いとなっている。
これは作者であるDavide氏がアプリ開発に協力したコントリビューター(貢献者)たちに対し、3月7日にDiscord上の開発グループ内にて発表。投稿されたコメントによると、これまで7年間開発に費やしたアプリの提供を永久に辞める「難しい決断」を行ったとした上で、「私の家族が第一であり、アプリの開発よりも家族を優先することにしました。」と自身の境遇を続けた。
Pizza Emulatorsはゲームボーイアドバンス向けエミュレータ「Pizza Boy GBA」や同クラシック向けエミュレータ「Pizza Boy GBC」などをPlayストアを通じて配信しており、いずれも累計100万ダウンロードを超える人気を獲得していたほか、広告などを削除するProエディションも5.49ドルで販売されており、こちらも有料にもかかわらず10万ダウンロードを超えていた。
家庭用ゲーム機タイトルのエミュレータを巡っては近年のスマートフォンの高性能化に伴い、GCやWiiといった2000年代中盤タイトルを動作させるAndroidアプリが多数登場。特に今回のGBA/GBC等のレトロゲームに類されるハードになると、安定動作は当たり前、より操作性を向上させたアプリが流通しているそうだ。
任天堂からの“訴訟リスク”受け対応続々
しかし、今月4日にNintendo Switchエミュレータ「yuzu」や3DSエミュレータ「Citra」の開発者Tropic Haze氏が任天堂から権利侵害で訴えられ、結果として240万ドル(≒3.57億円)の損害賠償金の支払いに合意し、プロジェクトの公開停止を行ったことが報じられた、ゲームコミュニティのエミュレータ界隈がザワつく事態に。
今回のPizza Emulatorsシリーズの自主削除について「家族を優先することにした」とのみコメントしていたが、本発表のタイミング、そして100万ダウンロード超えという知名度を鑑みると、任天堂による一連の訴訟リスクの波及は免れないという考えに至ったためだとうかがえる。(もちろん、本当に家庭内の事情である可能性も少なくない)
また、その他エミュレータソフトウェアを巡っても「公開の自主停止」が行われているほか、これまで有料販売されていたものについても利潤追求による訴訟を恐れたのか「無料化」に踏み切るなど、ドミノ倒しに影響が及んでいる。