アップル、アプリの外部決済を米国限定で解放へ ただし“手数料27%”支払い義務あり、Epic訴訟の影響示唆
Appleは17日、米国国内に適用される同社のアプリストア「App Store」のガイドラインを更新し、開発者は自分のアプリ内で、他の決済プラットフォームへのリンクを設置できるようになった。
iOSとiPad OSではアプリ内で都度課金や月額課金などを行う場合はAppleが定めるストア決済を利用する必要があり、支払額の約30%がプラットフォーム手数料として徴収されてることから、デベロッパーからは“Apple税”などと揶揄されている。
しかし、今回のガイドライン更新により、特別な申請を行い承認されたデベロッパーは米国国内のApp Storeに公開しているアプリに限って、アプリ内で外部のウェブサイトやプラットフォームへの決済を誘導することが可能になる。
これは2020年より断続的に行われている、Apple社とFORTNITEなどを運営するEpicとの係争の影響とされている。ガイドライン発表の前日にあたる1月16日には米国の最高裁判所が両社の控訴を棄却したことが明らかになっており、「サードパーティの決済手段の提供」をAppleに求めていた下級裁判所の判決を概ね呑んだ可能性が示唆されている。
しかし、決済手段の開放には複数の条件も同時に提示されており、App Storeを経由しない決済場合でも「27%の手数料」を徴収することを発表。通常の手数料は30%であるため、3%の負担軽減となるものの、追加機能の実装等のコストを加味すると「微減留まりで厳しいまま」との声がデベロッパーなどから寄せられていた。なお、中小企業向けの負担低減の取り組みとして2020年より提供している“App Store Small Business Program”の加入者は12%とかなりの手数料減額も見込まれている。
制限はこれだけでなく、外部の決済へ誘導する画面や決済ページへのボタンがどのように配置し、どのような動作をすべきかを綿密に定義したガイドラインも新設しており、具体的な配置例などが画像で提示されている。さらに、アプリがユーザーを外部の決済プラットフォームに誘導しようとするときに、警告画面を表示する仕組みも取り入れるとしており、苦渋の決断であることがうかがえる。