歌も踊りも全部AI 生成AIをフル活用した「【推しの子】OP歌ってみた」動画をAITuberが公開
最新のAI技術を駆使して制作されたTVアニメ『【推しの子】』OP「アイドル」の歌ってみた動画が生成AI利用者の間で注目されている。
この動画は7月3日にAITuber(後述)の「みらい」さんのYouTubeチャンネルとTwitterにて公開されたもの。実際に動画を見てみると、全部画像生成AIで作成されたことは言われなければ気付かない程度で、かつ抽象的な雰囲気に仕上がっている。一方で歌声の方は序盤は調子が良いものの、Aメロ入りからはキーが大きく外れている部分があり、改善の余地がうかがえる。
動画をの作成にあたり、使用ツールや技術も公開されており、歌声はリアルタイム音声変換技術の「RVC(Retrieval-based Voice Changer)」とオープンソース音声合成ソフト「VOICEVOX」を使用。画像は画像生成AI「Stable Diffusion」を中心に、構図指示プラグイン「ControlNet」とプロンプトプラグイン「AutoPrompts」を用いているとのことで、ネット上で配布されているモーションデータも借りているという。
大企業も参入するAITuberとは
AITuberとはAI(人工知能)とVTuber(バーチャルユーチューバー)とが組み合わさってできた新しい概念で、実在のアクターがいない完全なバーチャル世界に存在するライブストリーマーや動画配信者を指す。AITuberは昨年末より登場し急速に浸透したChatGPTやAI音声合成・歌声合成システム、アバター生成技術などの最新技術をフル活用し、視聴者とのライブチャットを通じた交流を実現しつつあるAITuberも。
これらの「AITuber」の参入は前述の例のように個人やベンチャー企業によるものが多いが、エンタメ上場企業でも研究・運用を推進する試みが見られている。
その一例として挙げられるのがバンダイナムコグループ。同社グループ会社のバンダイナムコ未来研究所とバンダイナムコエンターテインメントは昨年9月、共同プロジェクトとしてAI技術を活用したライブ配信・実況を行う完全独立型のAIキャラクタープロジェクト「プレイBYライブ」の立ち上げを発表していた。
このプロジェクトは発表以前の6月より試験運用していたAIゲーム実況番組「ゴー・ラウンド・ゲーム(ごらんげ)」を本格始動させたもので、【視聴者の存在を意識しながらゲームを攻略する意思決定AI】【視聴者の声を拾いリアクションすることに特化した集団対話AI】【感情を表現しながら語りかける新型の音声合成AI】の3つのAIによりリアルな視聴者との対話を目指している。
本プロジェクトについて同社は「AIキャラクター同士の生配信を通じた誰にも先の見えない展開を繰り広げることが魅力」としており、今後のChatGPTを始めとしたAIの民主化によるまだ想像もしないエンターテイメントの未来に期待が寄せられている。(編集部=寺田)