ドコモの新低価格プラン、契約前に注意すべきポイント―価格は割引表記&5G非対応のプランや通信制限になりやすい可能性
NTTドコモは20日、ドコモキャリアの新たな低価格プランとしてahamoに加えて「irumo」と「exiom」を発表した。本稿ではそんな新プランについて、「irumo」にスポットを当てて紹介する。
新たな低廉プラン登場
まずは「irumo」の概要について。今回投入されたirumoの特徴を一言で言い表すなら「データ利用量が少なく、かつ通信料を安く抑えたい方向けのドコモ回線プラン」で、その値段設定は550円からと魅力的なものとなっている。
irumoは先日NTTドコモへの吸収合併が発表されたNTTレゾナントの格安SIM「OCNモバイルONE」の事実上の後継プランとして設定されていることから、両者は非常に似通っており、今回「500MB・1GB・3GB・6GB・9GB」の合計5プランがラインナップされている。
このirumoの登場により、これまで20GBで2,970円の「ahamo」がカバーすることができていなかった「低用量・低価格」という領域を補う役割が期待され、MNP(他社乗り換え)不要で移行可能という点から高齢者を中心に利用が想定される。
価格は「クレカ+光回線」同時契約割引後
そんな新たに始まったirumoだが、ネットでは複数の注意すべきポイントがあるという声が見られ、その中から本稿では3つおさらいしたい。
まず1つ目に挙げられるのは値段設定に関する注意。テレビCMやWeb広告、報道向け資料に記載されている価格表記は(最も安い0.5GBプランを除いて)特定の条件を満たしていて初めて契約することができる「割引価格」が一番デカく掲載されている。
その特定の条件とは、支払い設定を同社が運営するクレジットカード「dカード」にすることと、光回線サービスを同時に契約するというもので、両者が満たされている必要がある。割引プランの内訳は『dカードお支払い割』が187円、『ドコモ光セット割』or『home 5G セット割』が1100円の合計1,287円。(全プラン一律)
3GBプランを例にとって説明すると、この割引条件を満たしている場合は880円となるが、逆に満たさないとなると2,167円での契約となり、auのPovoやソフトバンクのLINEMO、楽天モバイルなどと比べ割高感が否めない。
特に割引額の大きい後者の光回線契約については、元来ドコモ回線ユーザーではない方やOCNを単独で利用していた方からの利用者は(0.5GBプランを除いて)irumoへの移行はハードルの高いものになっている。逆に現行でドコモ光を既に契約している方にとってはアリなプランになるだろう。
※参考:ドコモ光…1ギガ タイプA/B/C(2年定期契約)で4,400円~5,940円/月(解約金: 戸建て5,500円/マンション4,180円)
irumoプランは5G非対応&速度制限になりやすい?
残り2つの注意ポイントは通信品質に関するもの。前者はirumoの最も容量の少ない0.5GBプランでは、現在デファクトスタンダードになりつつある通信規格「5G」が非対応になっているという点だ。
こちらは公式サイトのプラン説明の右下の小さく〈0.5GBプランの場合、通信速度が最大3Mbpsとなり、エリアに関わらず、4G(LTE)ネットワークでのご利用となります。〉との記載が見られており、これは「月に500MB程度使うと速度制限になるプランなのだから、特段高速通信を求めている層ではないんじゃないか」という意味合いも込められているように思われる。
そして最後の注意ポイント「他のドコモのプランよりも早く通信制限になりやすい可能性がある」という点。これも前者同様に公式サイトの下部に〈通信混雑時・大量通信時などに他の料金プランよりも先に通信速度の制限を実施する場合があります。〉と小さく明記されていることでSNSを中心に話題になっていた。
※なお、実際にどの程度であるのか、本当に行われるかなどがプラン提供開始前につき実証不可能であるため、「可能性がある」という表現にて紹介している
ここ最近、都市部のドコモ回線エリアを中心に「繋がらない」「通信が安定しない」といった通信品質の低下を指摘する声がネットニュースやSNSなどで多く見受けられ、同社の株主総会でも質問として提示されており、上記の「通信制限」云々についてはこれらの背景から特に警戒心が高まっているようにも伺える。
しかしながら、今回の2プランの設立は既存のドコモ回線ユーザーにとって「自分に合った料金形態のプランに移行できる」というMNPとはまた違った選択肢になり得るため、メリットデメリットを調査しつつ、eximoとともに乗り換えを検討してみても良いかもしれない。