多すぎるアニメ乱立時代、バズる作品の拡散経路とは?秋クールは「野原ひろし」驚異の450%成長
10月からはじまった2025年秋クールのアニメは折り返しを迎える。今期も全68作品が放送・配信され、視聴者の注目を巡る競争が増すなか、ブシロードが放送開始直後の視聴動向分析を公表。トレンド指数とファン指数の両面から注目度推移を検証した。
分析では、Googleトレンドによる検索量データとX投稿量データを用いて、放送開始から3週間の初速データを検証した。トレンドスコアでは作品別週別で最大値のGoogle検索量を、ファンスコアではX投稿量を相対化して評価している。
初速トレンドスコアの上位5作品は全て続編作品が独占し、特に「キングダム 第6シリーズ」が圧倒的な数値で首位に立った。新作では「グノーシア」が6位にランクインし、ゲーム原作の人狼サスペンスSFとして原作ファンとミステリー好きを中心に高い初速を記録した。ファンスコアでは「僕のヒーローアカデミア FINAL SEASON」がトップとなった。


そして今期最大のサプライズは「野原ひろし 昼メシの流儀」で、その伸び率は「450%」という過去最高をマークした。初週は控えめなスタートだったが、3週目には急上昇、初週比4.5倍という数値を記録した。
同作は特にニコニコ動画で爆発的な盛り上がりを記録しており、すでに初回エピソードは100万再生を突破。独特な演出や『秘密結社 鷹の爪』を手掛けたDLEによるユニークな作画や制作手法とともに、流れるコメントとの相性抜群と話題に。ニュースやSNSで取り上げられることも多く、口コミ効果が徐々に広がり、作品への注目が加速度的に高まることとなった。
ファン熱量は「デブラブ」が凄い
一方、ファンの熱量を示すファンスコアで最も驚異的な伸びを示したのは「デブとラブと過ちと!」の1357%だった。初週はほとんど話題にならなかったが、3週目に突如SNS上で爆発的に拡散された。分析元は第3話で物語の意外なシリアス展開が明らかになったことや、主人公の前向きすぎるキャラクターが一部SNSユーザーの間でネタ的に取り上げられたことが口コミ拡大の要因と推測している。


アニメ作品の”バズ”の動向は
こうした動向を受けて、レポートでは秋目作品における急速な注目度の高まり、いわゆる”バズ”には「TikTok発YouTube行き」「ニコニコ動画発X行き」という大きく2つの異なる拡散経路が存在すると指摘している。
ニコニコ動画発X行きのバズは30代以降の男性層を中心に拡散し、考察や感想を文字ベースで共有する特徴がある。一方、TikTok発YouTube行きのバズは10代から20代の女性層を中心に拡散し、印象的なシーンやダンス、音楽の切り抜き動画が中心となる。
「野原ひろし 昼メシの流儀」は明確に前者の経路を辿っており、30代以上の野原ひろしの年齢に近づいた世代が作品に共感し、X上で活発に感想を共有することで、トレンドスコアとファンスコアの両方を押し上げている。
これらのデータをもとに、分析元は今後のアニメプロモーション戦略において重要となる指針として「ターゲット層に応じたバズ経路の設計」「一気見視聴を促進する環境整備」を上げている。