物議醸した声優コラボクレカ、“リボ払い専用”は誤解?説明不足や拡散が過度なマイナスイメージに

次世代型クレジットカード「ナッジカード」が6月5日に発表した声優・坂倉花さんとのコラボクレジットカードについて、6月7日に新規受付の停止が発表された。所属事務所からは「一部で本来の意図と異なる形で受け取られるた」との理由を挙げている。
今回の運営停止となったクレカはフィンテック企業のナッジ株式会社が発行する「Nudge」カードの一つ。このカードの最大の特徴は、利用者が応援したい、推したいアーティストのコラボカードを利用するだけで、その利用額の一部が活動支援に還元される点にあり、いわゆる「推し活カード」として展開されている。
ユーザーは決済代金以外の出費を必要せずにサポートすることができるため、ファンにとっては「日常的に推し活できる」画期的なサービスとして設計されている。さらに、利用額に応じて限定の特典やメッセージが届く仕組みもあるり、ナッジカードはこれまで150種類以上の発行事例がある。
今回坂倉さんもその一つとして提携しており、今回も限定メッセージ動画や未公開オフショット、名前を呼んでくれる音声メッセージといった貴重な特典も用意されていた。
約款の「リボ払い専用」表記が誤解生む 銀行引き落しでは無利息
そんな「推し活カード」だが、このような仕組みの裏で、支払い方法の特性がソーシャルメディアで拡散されたことをきっかけに、カード全体にマイナスイメージをもたらすこととなった。
ナッジカードのカード約款では「ショッピング利用に限定された、リボルビング払い専用のカードです」との記載があり、「取引確定月の翌々月1日」を過ぎて残高を繰り越した場合、年率約18.25%の手数料が発生するとの記載が広く拡散された。
しかしこの件で厄介なのが、厳密には一般的なリボ払いとは異なるという点だ。ナッジカードには「都度返済(銀行、ATM)」「月1回おまとめ払い」の2つの返済方法が用意されており、前者だと期日までの支払いを怠ると上記の利息が発生する。一方、後者であれば翌月に口座自動引落しをする仕組みなので、利息は発生しない。


つまり、約款の表現上はリボ払い専用となっているが、通常のクレジットカードの使い方をするならば、リボ払いにはならない。このナッジカード特有とも言える返済方法の公式説明が不十分であったこと、約款の表記がSNSで広く拡散されたことで、マイナスメージを植え付けることとなった。
ただし「デフォルト都度払い」はリスクあり、支払能力を超えるのはNG
とはいえ「月1回おまとめ払い」を利用するにはデフォルトの都度返済から設定を変更する必要があるため、その点を知らない状態で利用するのは支払い遅延に繋がる可能性がある。また、両者の変更は残高がゼロの場合に行う必要がある点も懸念点であり注意すべきとされている。
加えてナッジカードは「学生でも作りやすい」と、比較的金融リテラシーが乏しい傾向にある層に訴求しているのも事実。特典欲しさに自身の支払い能力を超える決済までするような行為は控える必要があり、公式からも正確な説明が求められる。
一部からはこの特性を分かりやすく提示したり、公式アナウンスを行えさえすれば運営上の問題もないとの声もみられた。しかし、SNSでこうしたマイナスイメージが先行したことで、声優タレント本人にも悪影響を及ぼしかねないとの判断が運営停止に至ったとも受け取れる。