劇場版コナン、“地味キャラ”起用でシリーズ最速ヒット「最早何でもアリ」安室級の人気キャラ誕生?


劇場版コナン、“地味キャラ”起用でシリーズ最速ヒット「最早何でもアリ」安室級の人気キャラ誕生?

現在上映中の劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』が先日ゴールデンウイーク興行を終えたなか、シリーズ最速で興行収入100億円を突破した。一部では「今作は厳しいのでは?」という声もあがっていたが、そんな懸念を吹き飛ばす大ヒットとなっている。

“厳しい”とされた理由の一つは、メインキャラクターの人選にある。今作では長野県警(大和敢助・諸伏高明・上原由衣)と毛利小五郎が中心に描かれているが、長野県警はシリーズ内でもややマニアックなポジションとされ、小五郎も客を大きく呼べるキャラクターとは見なされていなかった。

というのも、劇場版『名探偵コナン』を一躍社会現象レベルの作品に押し上げた2018年公開の『ゼロの執行人』は、メインキャラクター・安室透の爆発的な女性人気が一因とされていたからだ。

新たな人気キャラも生み出す動きも

その後の傾向を見ても、2019年の『紺青の拳』は怪盗キッドと京極真、2021年の『緋色の弾丸』は赤井秀一と赤井ファミリー、2022年の『ハロウィンの花嫁』は降谷零(安室透)と、警察学校組(松田・萩原・伊達・諸伏)、高木渉・佐藤美和子のカップル、2023年の『黒鉄の魚影』は灰原哀と黒の組織、2024年の『100万ドルの五稜星』は服部平次と怪盗キッドというように、いずれも圧倒的な人気キャラがメインを務めてきた。

そして、コロナ禍の影響を受けた『緋色の弾丸』を除き、興行収入は右肩上がりを続けている。

そうした中での“異例の抜擢”ともいえる長野県警と毛利小五郎。近年のメインキャラに比べてややマニアックな印象は否めず、シリーズの記録更新が止まるのではという予想もあったが、それは杞憂に終わった。

これにはネット上でも「長野県警で100億行くなら、何ならコケるんだよレベルのコンテンツ力」「誰が主役でも当たり前のように100億行くモンスターになっちゃった…… 例年と比べると長野県警マイナー寄りだから渋いと思ってたけど」「去年の予告の時点で長野県警が記録を塗り替えるって予想してた人いるの?」といった驚きの声があがっている。

特に今回は、長野県警の中でも諸伏高明がこの映画をきっかけに一躍大人気キャラとなり、SNSではグッズの売り切れ報告が続出。注目されるがあまり、フリマアプリなどでは諸伏グッズの価格が高騰する事態となっている。

劇場版『名探偵コナン』では、エンドロール後に翌年の予告が流れるのが恒例だが、来年もまたややマイナー寄りのキャラクターがメインを務める可能性もあるのだろうか。人気キャラに依存するのではなく、新たな人気キャラを生み出し続ける『名探偵コナン』。このサイクルが機能する限り、シリーズの勢いは今後も衰えることはなさそうだ。

(C)1997-2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

著者 神山勝丸
ドラゴンボールとドラクエ、鳥山明を愛する30代。好きなアニメはサザエさん。