“折りたたみスマホ=分厚い”を過去にする。世界最薄「OPPO Find N5」中国版を試用レビュー

スマートフォンブランドのOPPOは今年2月、最新の折りたたみスマートフォン『Find N5』を発表し、中国国内で販売を開始しました。現状発売中の機種のなかで世界最薄を誇る本機を、今回は日本法人オウガ・ジャパンが保有する実験用端末を通じて体験してみました(日本未発売)。
折りたたみスマートフォンといえば、日本国内ではサムスンの「Galaxy Z」シリーズやグーグルの「Pixel Fold」が中心に展開されていますが、世界に目を向けると近年はHUAWEI、Vivo、OPPO、Honorといった中国メーカーの勢いが凄まじく、毎年のように新技術を取り入れた新製品を発売しています。
加熱する薄型化、Find N5は「クレカ5枚分」の薄さ実現
とりわけ直近では、これまで折りたたみスマホのネックとされてきた“薄さ”を追求する動きが著しく、昨年夏の「Honor Magic V3」や「Xiaomi Mix Fold 4」は世界で大きな話題となりました。そうしたなかで、以前よりOPPOが展開する折りたたみシリーズ「Find N」の新機種にてさらなる薄さを果たしたこととなります。
本機の最大の注目ポイントはもちろん薄さで、折りたたみ時の厚さは8.93 mm、展開時には4.21 mmを実現。従来の折りたたみスマホは閉じた状態で12 mmを超えるモデルも多かったなか、iPhone 16 Pro(8.25 mm)やGalaxy S25 Ultra(8.2 mm)とほぼ同等の薄さを誇り、一般的なスマートフォンと変わらない驚異的な薄さと言えます。

これらの数値は折りたたみスマホのなかでも群を抜いており、USB-Cポート周辺の背面処理を特殊設計にするほど。いわゆる“分厚い”イメージはまったく感じられません。より直感的に表すと、クレジットカード5枚分の厚さです。


一方、折りたたみスマホを常用する筆者が実際に触って感じたのは「薄い割に重い」という点で、本体だけで229g。実測値では239gであったほか、通常運用ではケースが必須となるため、実質では256gを超えます。小さくなったボディにハードウェアを凝縮した印象で、手持ちの他機種と比較しても、軽量化という面での革新性は感じられませんでした。

OSには独自機能も実装、スペックも20万円らしいてんこ盛り
ディスプレイは開いた状態で8.12 インチと大きく、もはや「iPad mini」等の小型タブレットと比較したほうが良いくらい。アスペクト比はほぼ正方形でマルチタスクに向いており、閉じた状態でも一般的なスマホと同様のサイズ感なので、使い勝手に大きなクセも少ないように思えます。


そして折りたたみスマホを常用するにあたり意外と大事なのが「ソフトウェア(OS)の機能性」ですが、こちらも比較的高いと感じました。一部の中華端末には最適化が不十分なものもありますが、本機は分割画面モードや「半折り」のフレックスモードをスムーズに利用可能。さらに、アプリを3つ以上横に並べ、使いたいウィンドウを選ぶ独自機能も備わっており、生産性向上も図れます。
本機は薄さだけでなく、約20万円という価格に見合うハイエンド性能を持ちます。SoCには最新のSnapdragon 8 Eliteを搭載し、AnTuTuベンチマークでは2,465,335点を記録。動画視聴や高負荷なゲームも快適にこなせます。もちろん大画面で。
カメラは老舗ブランド「Hasselblad」監修のトリプル構成で、5,000万画素メイン+5,000万画素望遠+800万画素超広角を備えます。カメラ部もフラグシップ端末にありがちな異常に肥大化したものはなく、しっかり薄めに設計されています。
薄さに全振りした犠牲はあるが…それを上回る驚きあり
薄型化によるバッテリー容量の犠牲もなく、5,600 mAhの大容量バッテリーを搭載。80W急速充電や50Wワイヤレス充電にも対応します。耐久性については長期使用のレビューがまだできませんが、公式によればヒンジ部は従来比で小型化を26%、耐久性を36%向上させたとのことです。
デメリットを挙げるとすれば、先述のとおり重量がややかさむ点。とはいえ、現状の折りたたみスマホで軽量級なものは少ないため、既存ユーザーから見ても大きな差はないでしょう。また、細かな点ではスピーカー音量が一般的なスマホより控えめであること、操作時のハプティクス(バイブレーション)にやや不自然さを感じることがあります。
しかしながら、「世界最薄」という圧倒的なアドバンテージは、ガジェット好きやスマートフォン好きにとって大きな魅力になるはずです。日本国内での発売予定は公式に「予定していない」とされていますが、今後の展開に期待したいところです。