『ガンダム』デザインの環境センサー、ISSに向け打ち上げ 理科大ら9機関連携「スペースコロニーにも繋がる技術」

東京理科大学は22日、産学連携プロジェクト「TEAM SPACE LIFE(TSL)」が開発した小型自律分散型環境センサー「TEM(TSL Environment Monitor)」が21日午後5時15分(日本時間)、アメリカ・フロリダ州のケネディ宇宙センターからスペースX社のファルコン9ロケットにより打ち上げられたと発表した。
TEMは、バンダイナムコグループが展開する「ガンダムオープンイノベーション(GOI)」の公認プロジェクトとして支援を受けており、東京理科大学スペースシステム創造研究センター(SSI)主導で開発。ISS搭載機器としての安全性と信頼性を確保しつつ、「ガンダム」をモチーフにしたデザインを取り入れている点が特徴とされている。
今回のプロジェクトでは、東京理科大学が全体の取りまとめを担い、高砂熱学工業、大和大学、理研計器、有人宇宙システム、国際医療福祉大学、NTTデータSBC、バンダイナムコ研究所など、計9機関が連携して取り組んでいる。
宇宙空間では自然な空気循環が起きにくく、呼吸により排出された二酸化炭素が宇宙飛行士の周囲に滞留しやすいとの課題があるという。さらに、ISSのような閉鎖環境では酸素供給と二酸化炭素回収を絶えず行う必要があるものの、内部の空気の流れについては依然として不明な点が多い。こうした背景のもと、複数台のTEMを通じて二酸化炭素濃度、におい成分、温度、湿度などを計測し、空間全体の空気環境の予測、把握を目指す。


SSIセンター長の木村真一教授は「日本には、優れた環境技術がたくさんあります。そういった技術を活用し、日本がイニシアティブを取りながら、人類の宇宙進出を加速させたい」「TEMは、ガンダムオープンイノベーション(GOI)という、これまでの宇宙開発とは違うアプローチで生まれました。ガンダムをひとつのシンボルとして、多くの人に関心を持ってもらいたい」との期待を語った。
一方のバンダイナムコグループ側も「これらは「ガンダム」に登場する大きな宇宙船や宇宙空間に建設された人工居住区「スペースコロニー」の実現にも繋がる技術と期待されます」と言及している。
打ち上げられた2台のTEMは、5月中旬に2回の実験を予定しており、終了後には地上に帰還する計画。25年度内に追加の2台を打ち上げ、再度の実証実験が予定されている。