なぜ万博のガンダム像は“片膝立ち”なのか 高さ規制が影響か…立像にはない見どころも


なぜ万博のガンダム像は“片膝立ち”なのか 高さ規制が影響か…立像にはない見どころも

4月13日に開幕した大阪・関西万博ではバンダイナムコグループの民間パビリオン「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」が西ゲート付近に建設され、建物のすぐそばには巨大な実物大ガンダム像「ガンダムNEXT FUTURE像」が設置されている。

これは、2024年3月まで横浜市「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」に展示されていた動く実物大ガンダム(RX-78F00)の機体を再利用したもので、高さは約17メートル、総重量49.1トンと万博全体でも他国のパビリオンに劣らぬ存在感を放っている。

しかし、この像は横浜からそのまま移設したわけではなく、片膝を立てて空に手を差し伸べる独自のポーズが採用されている。バンダイナムコグループはこのポーズについて「片膝を立てて腕を大きく上げるこれまでにないポーズは、宇宙、そして未来に向けて手を差し伸べているイメージとなっています」と説明していた。

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万博ルールでは最大20mの高さ制限

このポージングをめぐり来場者やファンからの関心を集めており、SNSでは「立ってほしかった」といった声も上がっている。一方、会場を訪れた来場者やファンからは、そのスケール感や設計意図に納得するとの評価も多数寄せられていた。

この片膝立ちのポーズには先の説明の通り演出的な側面はあるものの、実情としては建築ガイドラインによる制限の影響が大きいと指摘されている。

協会側が公表している「パビリオン等の設計・建設に係るガイドライン、会場全体施工ルール」によると、建物の高さの規定として「パビリオンの高さは12m以内とする。ただし、12mを超える部分の水平投影面積の合計が建築面積の1/2以内の場合は、 最高20m以内とすることができる」との記載があり、各建築物もこれに従っている。

横浜時代のガンダム立像は18mと表記上は規制に抵触しないものの、当時は安定化を図るために像の外周はドックで囲われていたため、そのまま移設するとなると20mを超える恐れもある。また、会場の夢洲は比較的新しい埋立地ということもあり、支えのない直立ポーズは安定性に問題があった可能性も大きいとみられる。

また、協会側が設定した20メートルという数字は会場中央にあるランドマーク「大屋根リング」の最高地点の高さであり、景観を考慮したものとなっている。片膝を立てることで高さ制限をクリアしつつ、会場景観との調和が図られており、圧巻ながらも主張しすぎない姿となっていた。

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写真で見るとやはりポーズの異様さは目立つが、実際に訪れてみると立像に負けぬ迫力が印象的。特に後ろから見るのがポイントで、立像では見られない足裏も確認することができる。

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現地では像の前で多くの来場者が片膝をつき、ガンダムと同じポーズを真似て記念撮影を楽しむ姿も見受けられ、まるで道頓堀のグリコサイン前でゴールインポーズを取る観光客をも想起させた。像は夜間にライトアップされるほか、隠し要素として万博キャラクター「ミャクミャク」がプリントされているらしく、パビリオン内部とあわせて楽しめる内容になっている。

©創通・サンライズ

著者 山本晃平