コミック市場規模、7,000億円の大台突破 休刊に人気作の連載終了…紙書籍は大幅減少
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全国出版協会・出版科学研究所は25日、2024年の日本のコミック市場規模が前年比1.5%増の7,043億円に達したことを明らかにした。市場は7年連続でプラス成長を続けており、初めて7,000億円の大台を突破したという。
調査によると、紙と電子を合わせた市場のうち電子コミックが前年比6.0%増の5,122億円となり、全体の72.7%を占めた。一方で紙媒体のコミックスとコミック誌を合わせた販売額は前年比8.8%減の1,921億円と減少傾向が続いている。出版市場全体における紙と電子を合わせたコミックのシェアは44.8%と、前年から1.3ポイント拡大した。
紙のコミック市場の内訳を見ると、単行本が前年比8.6%減の1,472億円、コミック誌が同9.7%減の449億円となった。紙のコミックスはコロナ禍の巣ごもり需要終息後、3年連続で大幅な減少となっている。
この動きについて、調査元は「紙コミックスは『怪獣8号』(集英社)など映像化による新たなヒット作も生まれていますが年々部数の規模が小さくなっています。既刊の売れ行きも振るわず、読者の電子への移行が進んでいます。」とコメントしている。
また、『呪術廻戦』『僕のヒーローアカデミア』『【推しの子】』などの人気タイトルが2024年中に相次いで完結した。コミック誌については『月刊コミックバンチ』『月刊アクション』『ちゃおデラックス』などが休刊となり、Web連載へのシフトが進んでいる。
一方、電子コミック市場は成長率が緩やかになりつつあるものの、5年間でほぼ倍増となった。電子ストアの積極的な広告出稿やキャンペーン、映像化作品や独占先行配信、ストアオリジナル作品などが売上を牽引している。
「季刊 出版指標」2025年春号(4月25日刊行)より